廃業したホテルの一室で
僕は、ひっそりと息を潜めてた。
息を潜めて、追っ手から逃れて
もう、10日。
体が、重たい
太陽を遮るものが、薄いカーテンしかないから
出来るだけ窓から離れた場所で
ずっと、寝転がっていた。
太陽で、死ぬことは無いけれど
それでも、体力は消耗するし
気持ちがいいものじゃない。
体が、だるい
太陽のせいだけじゃないのは分かってる。
僕の命が
消えかかっている証拠。
頭痛と激しい眩暈。
此処最近は、毎日嘔吐を繰り返してる。
もう、起きるのも辛い。
血を飲まなくなって……僕は、一体どのくらい経ったのだろう?
あと、どのくらい持つものなんだろうか。
「……慎吾」
会いたい
僕を惹きつけてやまなかった、初めて触れ合った人間
彼と、話がしたい
仲良く、なりたい
優しく、されたい
兎に角、もう一度
慎吾に、逢いたい
追っ手にさえ追われてなければ
違った出会い方をしていれば
何度も、考えても無駄な事を考える。
まるで、雪のように
慎吾への想いが、降り注ぐ。
落ちては、溶ける
淡い、雪のように
儚い想いが、降り注ぐ。
彼に、何か危害が加わっていないか、気になって仕方が無いのに
体が、動かない
今すぐ、駆けつけて
無事を確認したいのに
起き上がれない
もう
駄目かな……
感じる、やつ等の気配。
時期に、見つかる
もう、逃げる事も……出来ない
「さよなら、慎吾」
もし、死んでしまったなら
生まれ変わって
慎吾の傍に、いたい
せめて、その願いくらいは
「叶えて、欲しいな……」
鉛のように重たい瞼を
そっと、閉じた
後書き。
少し、時間が経ってしまった間に
展開が、変わってしまいました(爆)。
もうじき、二人は巡りあいます。
最初に考えていた展開よりも、もしかするとこっちのが、少し残酷かもしれません。
精神的に、って事ですけど。
でも、ちゃんと幸せに向かって書いていければいいな、と思います。 |
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