結局松本を探し出す事が出来ず、帰りに待ち伏せして捕まえる事にした。
校門の前で、待っているとそこに現れたのは…
「何やってんの?皆」
浜田だった。
「何って…まっさん待ってるんだけど、どこにいるか知らない?」
屋良の言葉に、
「まっさん??まっさんなら、今日はすぐ帰ったよ」
「え??」
「や、だって…学校来る途中で逢ったんだけど…真っ青な顔して…一応学校まで一緒に来てさぁ、教室まで行ったんだけど…席に座ってても何だか震えてるみたいだし。だから、帰った方がいいんじゃない?って言って…」
浜田の言葉に、屋良は不図考え込んだ。
やっぱり おかしい。
何かが おかしい気がする。
「そっか。じゃあ、まっさん家行ってみる?」
そんな良侑の言葉にも、答える事ができなかった。
「屋良っち?」
「あ、ごめん…」
「どうしたの。何か、おかしいよ?」
「…ちょっと。気になっちゃって」
「何が?」
町田に聞かれ、屋良は首を傾げる。
「うん…何か、わかんないんだけど…おかしいんだ」
「おかしい?」
高木が屋良を見る。
「…違和感、っていうか。何かおかしい気がするんだ」
でも…
「何が、って言われるとわかんない」
その言葉に、町田は苦笑しながら告げた。
「とりあえず、松本の家に行こう。それから色々考えてもいいんじゃない?」
その提案に、屋良は頷いた。
確かに、考えてもわからないモノは考えてもしょうがない。
「じゃあ、行こうか」
浜田に礼をいい、全員で松本の家に向かった。
考えない。
そう思っていても、屋良の頭の中に、疑問は自然と浮かんできた。
何故…松本が帰ったことを、良知は教えてくれなかったのか。
あの時、自分たちが松本を探すだろう事は良知にも予測出来たはず。
なのに…彼は何も言わなかった。
それに…こんなにも簡単に情報が入ってくるなんて。
おかしくないか?偶然にしては…出来すぎている気がする。
松本の家にいく前に…良知ともう一度話をするべきなのではないか。
そこまで考えて、屋良は首を振った。
良知は、友人だ。
疑いたくはない。大体、自分達を陥れる理由なんて、良知には無いはず。
「考えすぎだな、俺」
呟いて、全てを忘れるようにもう一度首を左右に振り、皆の後を追いかけていった。
++ ++ ++
松本の家に着くと、母親が出迎えてくれた。
「部屋から、出てこないのよ」
困ったように言った、母親は、それでも「どうぞ」と家に上げてくれた。
階段を上り、松本の部屋へと向かう。
「まっさん」
ドアを叩く。
返事はない。
「まっさん!!」
更に強く叩くと、中から微かに声がした。
「ごめん…逢いたくない」
消え入りそうな、その声。
「まっさん…」
黙り込んでしまった良侑達を後ろに追いやり、町田が口を開いた。
「蒼の世界…」
「え!?」
松本が叫ぶ。
「知ってるだろ?その事で聞きたい事がある」
町田の言葉に、松本は少し黙り込み…
「何も…知らないよ」
と小さく答えた。
「知らない、わけないよな。このROM、落としたのは松本?」
その言葉に…
「違う!!!俺、捨てたはずなんだ!!!」
叫んでから、ハッと息を呑んだのがわかった。
「やっぱり、知ってるんだ」
開けてよ、ドア。
町田の言葉に…数秒後、ドアがゆっくりと開かれた。
「俺、どうしていいかわかんないんだ…」
青褪めた松本の言葉に、誰も、答える事は出来なかった。
『消滅マデ…164:45:18』