第四話

目を開けると、周りは靄がかかっている様だった。
暫くして、頭が働いてくると、薄暗い部屋のベッドの上に自分が寝ているんだって事に気がついた。
「大丈夫か?」
声の方へと頭を傾けると、そこには原君が座ってた。
「…僕、」
「倒れたんだよ。あのまま、意識を失ってな」
ゆっくりと記憶を辿る。
あぁ…
真っ赤な…
血の海の中…

綺麗な朱色の

「良知!!」
グラっと世界が揺れた。
瞬時に蘇るあの光景。
「町田さんは!!!鈴木君も!!!!どうなったの!!!」
勢いよく原君に掴みかかってしまった。
驚いたように目を開いた原君はやんわりと僕の手を掴み、「落ち着け」と宥めてくれた。
「大丈夫。鈴木は怪我も治った。町田は…まだ、眠っているけどな」
「助かるんだよ…ね?」
「あぁ、大丈夫。一命は取り留めたんだ。あとは二人とも精神的に回復するのを待つだけだよ」
良かった。
助かったんだ。
「屋良が…?」
尋ねると、原君は頷いた。
「あぁ。アイツが助けてくれたよ」
「ねぇ、原君…」
「何だ?」
「屋良は…本当に昔の屋良なんだろうか」
思わず口をついて出た疑問。
「良知?」
怪訝そうな原君の顔。
「何となく…怖いんだ」
屋良が。
そう告げると、原君は僕の頭を軽く撫でた。
「最近、良知は疲れてるからな。急に力もなくなったから、いいようのない不安を抱え続けてたんだよ。ゆっくり休め」
「原君…」
ベッドにまた押し戻され、原君は部屋を出て行こうとドアを開ける。
「良知」
不図振り返る。
「何?」
「俺にはね、今の屋良は昔と変わらない屋良としか思えないよ。あの…純真無垢な頃の屋良とね」
おやすみ…
そう言って原君はパタンとドアを閉めた。

純真無垢な屋良。

原君がそう思うのなら…
だったら、何故?

何故、僕は…
屋良が…

                               こんなにも怖いのだろうか。

…原君の言うとおり、疲れているのかもしれない。
今は少し眠ろう。
それにしても良かった。
二人が助かって。











良かった…


                町田さんが…




        まだ…






                                              
目覚めていなくて


++ ++ ++
「原っち、どうだった?」
階段を下りたところで、屋良が待っていた。
「まだ、少し眠らせておいた方がいい」
答えると、屋良は少し俯いた。
「大丈夫かな、ラッチ」
その屋良の頭をクシャっと撫でる。
「大丈夫。疲れているだけさ」
「でも…」
不安そうな屋良の声。
屋良は顔を上げて告げた。
「ラッチ…助けてあげなきゃ」
屋良の言葉を聴きながら、原は別の事を考えていた。

昨日、大野が言った。

「お願い…」

「彼だけは…」

「決して…」

「そばに…」

「こさせないで」


あれは…どういう意味だったのだろうか。
それから、大野は部屋に篭ったきりだ。
力が調節出来なくなった事にも関係があるのだろうか。
実際、自分も能力が少し増している感がある。
全て…影響を受けているのだろうか。


彼の…見えない力に。

屋良が、ポツリと呟いた。


「僕が   助けてあげるね」




第4話です。
展開が微妙に変化を見せてきた感じが伝わりましたでしょうか?
フフフ…そうなんですの。そうなんですよ。いや〜そうだったのか(何)。
セカンドは短めに。長期にわたった連載にはしないつもりで。
一応…そうだな15話〜20話くらいを予定しているんですけどね。
なので、そろそろ確信に触れてもいい感じもするんですが…。
なんて言ってますけど、書いてるの私ですからね(爆)。
うっかり30話くらいいったらどうしよ〜(汗)。

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