「まずは、お店をどうするのか、詳しく聞かせてもらえる?」
岡田に尋ねられ、萩原は少し俯いた。
「どした?」
坂本が尋ねると
「僕…とにかく、復活させたいって事だけで…詳しくは何も考えて無いんです…」
シュンとしてしまった萩原。
「あらら。まぁ、しょうがないよね。皆で考えようか?」
長野の言葉に
「だったら、他のも呼ぶ?」
坂本がクイっと親指を立てて二階を示す。
「…余計、話がまとまらん気もするけどな」
岡田が苦笑する。
「…言えてる」
頷く坂本。
「いいから!とにかく大勢のが意見がいっぱい出ていいかもしれないよ?」
早く呼んで来て!
長野に急かされ
「ハイハイ」
と重い腰を上げ、二階へと上がっていく坂本。
「…すみません。僕…何も考えてなくって…それに、お店だって…今、存在しないのに…」
どんどん項垂れていく萩原に
「そないに落ち込まんでもえぇよ。何とかしたるから。な?」
ヨシヨシ、と頭を撫でながら、岡田が優しく微笑む。
「何とかするにしても…まずはお店を確保しないとね〜。借りたりなんだりって事になるわけでしょ?お金もかかるしさぁ〜材料の仕入れ料金とかもあるわけだし…」
「…博。そないに畳み掛けんでも…萩原君がより一層落ち込んでるやん」
言われて慌てて視線を送ると、そこには今にもテーブルに埋まりそうなほど項垂れた萩原の姿。
「あぁ!!すいません!!すいません!!」
慌てて謝る長野に
「何謝ってんだ?」
と、二階から降りて来た坂本が尋ねる。
不図萩原を見て、溜息をつき…
「お前、また毒吐いたんだろ」
と、長野に視線を送る。
「…ゴメン」
「俺に謝るなよ」
苦笑して、坂本は萩原に笑いかけた。
「悩んでても落ち込んでてもしょうがないから。俺たち全員で力になるから、頑張ろうよ。ね?」
言われて、萩原が顔を上げると…
「俺も協力するよ〜」
「岡田一人じゃ発想が貧困だからな〜」
「俺、すっげーアイディアいっぱい持ってるから!!」
三宅、森田、井ノ原が並んでいた。
「ありがとうございます!!」
ウルっとした瞳で全員を見つめ、萩原は勢いよく立ち上がり、お辞儀をした。
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「かといってさ。とりあえず、お店を開店させる場所を何とかしないとね」
三宅の言葉に、全員が唸ってしまう。
「さすがに、それは俺らの力でもなぁ」
坂本が頭をガシガシとかいて首を項垂れたとき、店のドアが開いた。
「こんにちは〜」
そこには、以前よりも大きな声で、笑顔で入ってくる町田の姿…と、後ろからヒョコっと覗く
「ちっす」
屋良の姿。
「…なんかあったんですか?」
あまりの暗さに、町田はキョドキョドしてしまった。
「まぁ…なんつーか」
森田が「まぁ、すわれよ」と空いているソファを指差し二人を呼ぶ。
坂本が座った二人に、ゆっくりと説明をする。
「で、その依頼人がこの萩原君、ってわけだ」
「どうも…」
「…で、お店の場所をまず何とかしたい、と」
坂本が続ける。
「でも、どうしていいやら…」
長野が続く。
「で、この状態ってわけ」
森田が苦笑する。
「…あの」
町田が、声を上げた。
「何?町田君」
坂本が尋ねる。
「僕のうち…一軒、貸店舗あいてたはずですけど。両親に聞いてみますか?」
その言葉に、全員が一斉に町田を見た。
「町田君の家って…」
長野が眼をパチクリとさせながら尋ねる。
すると、森田が思い出した!と言わんばかりに答えた。
「忘れてたわ!こいつの家、めちゃめちゃ豪邸だったぜ?コイツ金持ち坊ちゃんだよ、間違いなく」
森田の言葉に
「いや、そんなには…」
と謙遜するも、周りの声でかき消される。
「町田君!!頼むよ!!聞いてみてよ!!格安で!!」
物凄い勢いで畳み掛けてくる井ノ原に少し後ずさる。
「…や、どうせずっとあけてるものですから…僕が使いたいって事で、なんとかゆずってもらいます」
そういって、町田は萩原を見た。
「せっかくだもの、本格的にやりたいよね?協力するよ。店舗のお金は気にしないで?」
「あ、ありがとうございます!!」
深々と頭を下げる萩原。
「内装とかも、自分達でやれば、そんなにお金もかかんないだろうし」
岡田が笑って萩原を見る。
「俺、君の傀儡にはなれないけど…お手伝いくらいなら出来るから。メニューも考えるし、レシピも作るし。」
坂本もニッコリと笑った。
「学校終わってからの時間だったら、僕もお手伝いできるけど?」
屋良が小首を傾げながら尋ねる。
「皆さん…ありがとうございます!!」
再度深々と頭を下げる萩原に
「そんなに謝んないの。困っている時はお互い様だろ?たまたま全員起きてるんだから、使ってやりゃ〜いいんだよ」
と笑う坂本。
「僕も、彼らに助けられたから…だから、君を助けてあげたいんだ」
町田はそう言って、携帯を取り出した。
「すぐにでも、準備できるようにお願いしてみるよ」
笑って通話を押す。
「よかったな。萩原」
岡田がポンっと萩原の背中を叩いた。
涙ぐみながら、頷く事しか出来ない。
「いい、お店にしよな?優しさと幸せに溢れるお店にな?きっと萩原になら出来る。逢ったばっかりやけど…俺にはわかるんよ。君はとても優しくて温かい子やって。せやなかったら…皆こんなにしてくれへんって」
君の人徳やね。
そう言ってフワリと笑う。
その瞬間、萩原は確信した。
この人となら…
絶対に上手くやっていく事が出来る。
こんなに
優しさに満ち溢れている人だもの。
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はい、更新。
いや、書き始めてから暫く日がたってしまったので、どんな展開にするかも忘れてしまっておりました。
ほぼかきあげてあったものの、結局悩みに悩んじゃったよ。
全員総出でがんばってもらいましょうって事で。
それにしても、町田さん、お坊ちゃまだったのね〜(笑)。
ちなみに、屋良っちもお坊ちゃまなのですよ?(笑)今後きっと、彼のお坊ちゃま度が炸裂する…はず(笑)。
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