「お前って、ホントすげーヤツだったのな」
思わず感嘆の溜息を漏らす森田。
「そんなことは...ないんだけど」
と、テレる町田。
そして、無言で呆然と立ち尽くす岡田達。
その目の前には...
決して大きいとはいえないものの、十分な広さを持った貸し店舗用の物件が立っていた。
外見もお洒落で、外から見ただけだったら、すぐにでもお店に出来そうなほどだった。
「僕が言ってた物件とは違うんだけど...ちょっと前に、空いたらしくて。前に使っていた人が、個人経営の小さなレストランをしてたんだ。だから、喫茶店をやるなら、こっちの方がいいかもしれないって、父が。」
そう告げた町田を後ろからガシっと森田が抱きしめた。
「ひゃ!!!」
「お前すげーよ!!最高だな!!」
ジャレる二人を尻目に、
「ちょっと、入ってもえぇかな?」
と、冷静に尋ねる岡田。
「あ、すいません。今開けますね」
町田が鍵を差込み、ドアを開ける。
少し前まで使用されていたその建物は、小奇麗に掃除されており、水道・調理台等もしっかりと完備されていた。
「こりゃ、少し改装するだけで、すぐ使えそうだな」
坂本が厨房に立ちながら、呟いた。
「いいね〜何だか落ち着く雰囲気があるね」
長野もニコニコしている。
「テーブルとか、メニューとか、僕、配置とかデザインとか考えるよ」
得意なんだ、そういうの。
そう言って三宅が萩原に笑いかけた。
「ありがとうございます!!何だか...夢みたいな話です...。お願いしにいったときは全然現実味のないお話をしてしまっていて、どうしようかと思ってたんですが...なんだか、一気に現実的になってきて...」
「よかったじゃん。ツイてるんだよ、萩原君」
井ノ原が笑う。
「じゃあ、俺、経費削減の為に、廃材もらってきてテーブルとか作るわ」
そう言って、井ノ原は「ちょっと行ってくるわ」と、出て行った。
「何処行ったの?」
長野の問いに
「膳は急げってヤツ?ほっときゃその内材料持って帰ってくるさ」
と坂本は笑った。
「さてと。まずは、掃除といきますか。いくら使っていたとはいえ、少しの間、放置されていた事にはかわんねぇからな」
坂本は腕まくりしながら、全員に叫ぶ。
「ボーっとしてねぇでさっさと掃除!」
「は〜い!!」
三宅が元気良く返事をして、掃除に取り掛かる。
「ほな、俺たちもやろうか?」
岡田が萩原に向って笑う。
「はい!!」
心を込めて掃除しなくちゃ。
萩原は思った。
「此処が...僕とお婆ちゃんとの喫茶店になるんだ」
そして...岡田さんとの。
「綺麗にしなくちゃ!」
期待に高鳴る胸を何とか沈めながら、萩原は掃除に没頭した。
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すげー短い!!(苦笑)。
でも、ちょっと時間がなかったんで、此処でUP。
近々続き書きたいと思います〜。
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