ジリジリと焼け付くような太陽が
カーテンで遮っている部屋にまで熱と光を届けてきていて。
僕は、窓から出来るだけ離れた。
ヴァンパイアの僕には
太陽の光はとても辛い。
流石に、数千年も生きてきてる種族として
進化を遂げている僕達は、太陽の光を浴びたくらいで死ぬ事はない。
それでも、やはりあまり気持ちがいいものではないのも事実だ。
「はぁ……」
大きく、溜息をついて。
僕はゴロンと床へと寝転がった。
体がだるい。
逃げ続けて、やっと彼らの気配が消えた。
少し休む為に潜り込んだホテル。
どうやら、廃業したらしく、お客さんは誰もいない。
すぐに取り壊される事もないだろうから、少しココでお世話になろうと、勝手に窓から侵入した。
「元気、かな……」
不図思う。
ほんの少しだけ触れ合った人間。
その少しの時間で
僕を惹きつけてやまなかった人。
もっともっと
彼と
色んな話をしてみたかった。
色んな事をしてみたかった。
もっともっと
仲良くなりたかったのに。
それでも
彼を、僕のこの運命に巻き込むわけにはいかなかった。
それは最初から分かっていた事なのに、それでももしかしたら、と淡い期待を抱いてしまった僕が悪かった。
まさか、あんなに早く追っ手が嗅ぎ付けるとは思ってもみなかったのだ。
彼に、何か危害が加えられたりしていないだろうか。
もしそうなら、今すぐ助けに戻りたいけど。
体が言う事を聞かない。
僕の命は
きっと消えかかっている。
前よりも多くなった嘔吐感と頭痛。
激しい眩暈。
だるくて、動かすのもやっとな体。
血液を飲むことなく、僕らはどのくらい生きていけるものなのだろうか。
僕は飲まなくなって……どのくらいたったのだっけ?
あぁ……
よく、わからなくなってきた。
遠くから、窓を見つめる。
出来ることなら……
二人で、出かけてみたい。
二人で、この空の下を思い切り走ってみたい。
二人で、ゆっくりと話をしてみたい
二人で、静かに転寝をしてみたい。
太陽を嫌い、太陽に嫌われている僕だけれど。
人間がする事を
僕もしてみたいんだ。
慎吾と、二人で。
「逢いたいな……」
もう一度
「逢えるかな……」
生まれ変わる事が出来たなら
その時は
二人
太陽の下で。
本当は「逃亡者」の番外編を……と考えていたのですが
何故か、気がつけば「光と影と、」になってました。
今連載中のちょうどつながりになる感じです。
朝幸が飛び出したその後の彼の心情を。
二人が
仲良く太陽の下を歩ける日が
いつかやってくるのでしょうか。
ちなみに「した」じゃなくて「もと」ね。
そこ、どうでもいいようだけど、個人的なこだわりです(爆)。
2008/7/4 |