++正しいバイトのススメ番外編〜島田直樹BD記念〜++

「おはようございます」
ドアをあけると…
「あれ?」
誰もいなかった。
いつもなら、一哉ももう来てる時間だし、何よりいつもは1番先に来ているはずの良知君がいない。
「誰も、居ねぇのかよ」
呟いて、とりあえず控え室へと向かう。
ロッカーを開けて、スーツに着替える。
まだ、誰も来る気配がない。
「今日、休みじゃねぇよな…」
改装工事の予定もないし、慰安休日でもない。
「…って、掃除、俺がやんのかよ」
誰も居ないなら俺がやるしかない。
そういえば、萩原の姿も見なかった。
授業が終わって迎えに行ったらすでに帰った後だった。
…それにしては、ココに居ないのがオカシイ。
何やってんだよ、ったく。
毒づいて、ロッカーをパタンと閉め、控え室を出る。
まずはフロアでも掃除するか。
と、フロアに入った途端
「HAPPY BIRTHDAY!!!」
という、声と共に鳴り響くクラッカー。
「…何?」
目を丸くして驚愕している俺に、良知君が近づいてくる。
「誕生日、だろ?」
…あ、そういえば。
「や、そうだけど…何?」
「何って…お祝いに決まってるやん」
治樹が笑う。
「…はぁ?なんで」
「…だから、なんでって誕生日だからだろ」
友一がいう。
「あのな、俺はそんな堂堂巡りな答えを求めてるんじゃなくって…なんで誕生日だからってこのメンバーでお祝いとかやるわけ?って聞いてンの」
今まで、そんな事しなかったじゃん。
だいたいホスト同士でどうして祝わなきゃいけないんだ?
「…あのね、幸人君がやろうって言うたんや」
一哉がニッコリと笑う。
………やっぱり。
「そんなトコだろうとは思ったけどな」
「なんで島田喜んでくれないの〜!!!ビックリさせようと思ってすっごい頑張ったのに〜!!!」
叫ぶ萩原の肩にポンっと手を置き…
「ビックリした。いや、正直マジでビックリした。まさかこんな事するとは思ってもみなかった。お前だけならまだしも、全員お前の話に乗るなんて想像も出来なかった。すげービックリ」
思ったとおりの感想を述べると…
「島田…なんだか、馬鹿にされてる気分なんだけど」
と萩原が膨れている。
「…大丈夫。馬鹿にはしてない。ちょっと飽きれただけ」
「同じだよ!!酷いよ!!せっかく喜んでもらおうと思ったのにさッ!!」
ツーンと横を向く萩原。
あぁ、ヤベぇな。ちょっと怒らせ過ぎた。謝っておくか。
「ゴメン、言い過ぎた。嬉しいよ。ありがとな、萩原」
そう言うと…
「もうッ!!やっぱり島田ってば照れてたんでしょvv可愛いなぁ〜島田ってばッ♪」
………ま、いいか。
俺の為にと思ってくれた事には変わらないんだし。
「とりあえずさ、何祝ってくれんの?」
尋ねると
「とりあえず、乾杯しようか?」
と良知君。
「でも、店始まる前から飲んだらまずいんじゃ…」
「たまにはいいでしょ。って事で…康、ボトル用意して」
「わかりました」
橋田がボトルを持ってきて…
全員にグラスが配られる。
「じゃあ、乾杯しよう!おめでとう、直樹!!」
「おめでと〜!!!」
と、全員で乾杯。
なんだか、悪くないな、こういうのも。
「中村君〜お菓子持ってきて〜♪」
なんて、叫んでいる萩原の台詞も、微笑ましく思える。
「皆どんどん頼んでよ。今日はおごりだから」
友一、気前いいなぁ〜俺だけじゃなく、皆もおごりなのか。
と思っていたら…
「直樹の」
ナニ〜!?
「ちょ、待ってよ!!なんで、俺?」
焦る俺に
「まぁ、いいじゃん。誕生日なんだから」
と友一に肩を叩かれる。
「や、だからおかしいんじゃん」
なんで、誕生日の人間がおごらなきゃならねぇんだよッ!!
「ええやん。直樹、NO.1やろ?この位安いもんやん」
ニヤリと笑う治樹。
「や、っていうか…オイッ!!友一、お前あんまり飲むんじゃねぇよッ!!!あぁッ!!治樹、新しいボトルとか開けてんじゃねぇってッ!!……萩原〜!!!お前、食べ過ぎだぁ!!!」
なんで、こんな目に合うんだよ!!!
「良知君、助けてッ!!」
叫んだ俺に、良知君は楽しそうに笑ってる。
頼むよ…マジ助けて。
++ ++ ++
結局、あの後、萩原達はホントに俺の金で開店まで飲み食いし…
や、でも後から良知君が「プレゼント」として、代金分くれたからいいんだけど…
なんで、誕生日にこんなに疲れる目にあわなきゃならねぇんだ…
誕生日なんて…
ボヤきかけた時、ドアが開いた。
開店の時間。
「いらっしゃいませ!!!」
頭を下げて、ゆっくりと上体を起すと…
「直樹〜♪誕生日おめでとう〜♪」
駆け寄ってくるお客様達。
「私、直樹の為にボトル入れるねvv」
「はいッ!!コレ、誕生日プレゼント♪」
「やっぱり、直樹って花束似合う〜vvv」
………コレだよ。
ホストの誕生日っていったら、コレでしょ。
NO.1ともなると、違うな、やっぱり。
と、思っていたら…
「今日は皆どんどん飲んでね〜」
と、ドンペリ隊長友一の声が響き渡る。
…なんだ?
「今日は直樹の誕生日!!めでたい日です!!!って事で、今日は全部直樹のおごり!!!頑張って飲みましょう〜!!!」
フロア中に拍手ときゃ〜って声が響き渡る。
…………………………………って、オイ!!!
「ふざけンなよッ!!!」
友一に向かって叫んでも全くコッチを見ようともしないで盛り上がってる。
…なんで、こうなるわけ?
俺の、誕生日なんだよ、今日…
…………って、そんな事より!!
「つーか、萩原ッ!!!お前さっきから食いすぎだっつーの!!!」
思わずツッコミをいれた俺に向かって
「ごちそうさまvv」
とニッコリと微笑む萩原を見て…
俺はがっくりと肩を落した。
ま、こんな誕生日もありなのかもしれない…
無駄な抵抗をするのはやめよう。
でも…
………お前等、覚えてろよッ!!
++ ++ ++
帰り道。
俺は萩原と並んで空を見上げてた。
薄っすらと光りが射しはじめ、朝の気配が近づいてきているのを感じるこの時間帯が結構好きだったりする。
ボーッと空を見上げていたら…
「島田〜」
と、横から眠そうな萩原の声。
「何?…っていうか、お前大丈夫か?学校行くまでに起きれるか?」
「うーん、多分無理」
ヲイ…
「仕方ねぇな、迎えに行ってやる」
そう言って苦笑した俺に、萩原はニッコリと笑った。
「ありがと〜」
「どういたしまして」
「そんな島田に…ハイvv」
萩原が鞄の中から何やらゴソゴソと取り出した箱を俺に差し出す。
「何、これ」
「プレゼント」
「…え?」
「誕生日のプレゼント。ちゃんと準備したって言ったでしょ」
と俺の手に無理やり箱を掴ませる。
「あぁ、ありがと…」
ちょっと嬉しいけど、照れくさい。
だから思わずそっけない態度になってしまった。
「何それ。もっとちゃんと喜んでよ〜」
「や、嬉しいよ。…開けてもいい?」
「もちろ〜ん」
リボンを解いて、箱を開けると…
「あ、コレ」
俺が前に欲しいと言ってた時計が入ってた。
この仕事をするようになってから時計は必需品になってる。
お客様からもいっぱい高い時計を貰うけど…なんだか、自分にはしっくりこなかった。
「…萩原ぁ」
「ん〜?何?」
眠そうな目をこすっている萩原に、俺は少し笑ってこう告げた。
「マジ、嬉しい。ありがと」
それは、どんなに高い時計よりも、俺にとっては嬉しいプレゼントだった。
「…めずらし」
呟いた萩原に
「何が?」
と聞き返す。
「島田が…素直だ」
さっきまで閉じかけていた目を見開いて驚愕している。
「…お前な、ケンカ売ってンのか?」
「や、そうじゃないけど…なんか、いいよね、こういうの」
ニッコリと笑う。
まぁ、確かに。
結局、あの後、友一も治樹も一哉もちゃんとプレゼントをくれたし。
良知君もプレゼントをくれた上に、誕生日祝いって事で店の1番高いボトルを俺に入れてくれた。
萩原は、その場では何にも言わなかったのに。
でも、俺にとっては1番いいタイミングだった。
コイツ…何にも考えてないようで、実は色々考えてんだろうな。
「お前、結構策略家な」
「何の事〜?」
とぼける萩原の頭をコツっと軽く叩く。
「なんだよ〜」
「お前の誕生日、期待しとけ」
「ホントに〜?どうしたの、島田優しいよ」
…コイツなら俺を喜ばせてンのか怒らせたいのかはっきりしろ。
「わかった。じゃあ、何もなし」
そういって、先を歩く俺の後ろから
「え!ちょっと待って!!ゴメン〜ウソだから〜」
と叫ぶ萩原。
何だかんだいって俺はとってもいい仲間に恵まれてる。
嬉しさに自然と笑みがこぼれてくる。
そんな、幸せな気分になれた誕生日だった。
幸せ過ぎて…
俺は結局寝坊して…萩原共々思いっきり遅刻した。
「島田のせいだぁ〜」
起してくれないから〜!!!
グラウンドを走らされてる萩原の悲痛な叫び。
「うるせぇよ。昨日ハシャギ過ぎたからだっつーの」
振り返って睨みつけると…
「それもこれも島田のせいだぁ〜」
更に叫ばれた。
…ハイハイ。
ま、こんな誕生日もありかもしれない。
そう思いながら、すっかり高い位置へと到達している太陽を仰いだ。
来年もまた、この仲間と祝える事を願って…


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なんだ、コレ(爆)。
なんとなく、誕生日なんで何かしなきゃッ!!と思って思わずこんな小説を書いていた、という…(苦笑)。
小説のキャラで誕生日小説書くのも楽しいかなぁ〜と思ったんだけど…時間がない為、こんなものしかかけませんでした(汗)。島田様ごめんなさい…。大好きです(何)。
とにかく、これからもより一層エロさ…違った(爆)、色気に磨きをかけて素敵な男に育って頂戴vv

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