++Happy Birthday++〜良知真次の場合〜
今日は誕生日だった。
屋良っちや町田君は電話くれたし。
島田と萩原からはメールが届いた。
あと、いっぱい皆祝ってくれて…。
人の暖かさを実感した一日だった。
そんな誕生日もあと残すところ2時間。
…祝ってくれないのかな、アイツ。
溜息をつく。
ま、仕方ないか。環境が違えば会い辛くなるものなのかもしれない。
そう思いながらベッドに横になる。っと携帯が鳴った。
着信を見ると…それはまさしく今考えていた相手からだった。
「もしもし」
通話ボタンを押して、出たとたん明るい声が。
「良知クン??今、家にいる??」
「…いるけど。どうしたんだよ、一体」
「いいからッ!!今から行くね。じゃッ」
ツー..ッー..
…なんだ一体。
とりあえず、今からくるって事は寝てる場合じゃないよな。
+++
ピンポーンッ。
ものの5分もしないうちにチャイムがなる。
ガチャっとドアを開けると…
「ハッピーバースデー!!良知クンッ!!!」
と顔中笑顔イッパイな石田が立っていた。
「ありがと。とりあえず…入る?」
ビックリしたせいか、そんなことしか言えない俺に
「…それだけ?」
不満そうに尋ねる。
「なにが?」
「もっとさぁ。ビックリしたぁ、とか。すげー嬉しい、とかさぁ。ないの?」
「…や、かなりビックリ。」
「ホントに?」
「ホント」
「ならいっか」
そう言うと石田は俺を押しのけて部屋へ入っていく。
その手には…
「なぁ、石田」
「なに?」
「それ、なに??」
大きな箱と大きな包み。
「あ、これ?誕生日といえばコレでしょッ」
と、石田が机の上に箱を置く。そして、その箱を開けると…
「…石田ぁ」
「どう?すごいでしょ。ちゃんと名前入れてもらったんだよ」
「…そうじゃなくてさ。これ、2人で食べるわけ?」
そこには大きなバースデーケーキ。
ちゃんと、チョコのプレートには俺の名前。
コレ、店で頼んだのかな?ちょっと…笑える。
「大きいかな?」
「どう見ても…」
「なんとか、なるでしょ」
「ならねぇよ」
「や、俺がこっち半分でしょ。で、良知クンがこっち…。ほら、分けてみるとたいした事ないし」
ニコニコ笑う石田。つられてこっちまで笑ってしまう。
「ま、なんとかなるか」
「そうそう、成せば成るッ」
良知クン、火つけて。
と石田が言う。
「自分でつけんの?俺の誕生日なのに?」
「それもまたいいでしょ。俺、歌うから」
「…ま、いいか」
火をつける。
石田の近所迷惑スレスレ(笑)な歌に合わせてろうそくを吹き消す。
「おめでと、良知クンッ」
「ありがと、」
「これからも友達でいてね」
そういって笑う石田。
環境が変わっても、友達を思う気持ちは変わらない。
これからもずっと友達。
「で、その包みは?」
石田の気持ちがくすぐったくって、照れ隠しに尋ねると…
「あ、これ?俺が使ってるのと同じヤツ。絶対気に入るよv」
張り切って差し出されたその包みを開けると…
「枕??」
しかも2つ。
「そ、絶対寝るとき枕は多い方が寝易いんだよッ!!」
嬉しいでしょ?
そういって笑う石田。
…ゴメン、俺やっぱりお前の感覚わかんない(笑)。
そんな風に思いながらも石田の笑顔を見ると、やっぱりイイヤツだなぁと心から思う。
「ありがとな、石田」
+++
ひとしきり騒いで、結局ケーキも全部食べて…
石田はまたね。と帰っていった。
今度はいつ会えるかわからないけど、いつまでも友達な事には変わらない。大切な大切な友達。
早速石田のくれた枕をベッドに置いてみる。
「絶対、寝づらいよな」
枕に囲まれて、眠りについた次の日…
なぜか、かなり気分よく目覚める事が出来た。
これって、昨日の石田の力かな。それともやっぱり枕のおかげ?
一緒にいすぎたせいかな…
なんか…俺、石田と似てきてんのかな?
END
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