+ENDING…Ver.1+ やっぱり、本気で戦うなんて出来ない。 もしかしたら、良知君と影は本当に一心同体になってしまっているかもしれないからだ。 影が消滅するのと同時に、良知君も… と思うと、とてもじゃないが、手が出せない。 俺は、影を説得する事に決めた。 「止めろよ…こんな事したって、お前は良知君にはなれねぇんだって」 「ウルサイなぁ、そんな事、どうして言えるんだよ」 「お前さ、良知君の事好きなんだろ?好きだから良知君を独り占めしようとしたんだろ?」 「そうだよ」 「だったら、その良知君を乗っ取ってしまったら…お前、良知君を殺す事になるんだぞ?」 いいのかよ、それで。 俺の言葉に、影は下を向いて黙ってしまった。 説得が、上手くいってるのかもしれない。 俺は、そのまま一気に続けた。 「いやだろ?好きなヤツ殺しちゃうなんて…出来ないだろ?」 「…」 「良知君の事好きなら…好きなら、元に戻ってやれよ」 そう言った俺に、影は力無くフラフラと近づいてきて… 「お前の言うとおり…真次の事、大好きなんだよ。だから…」 その言葉に、俺はほっとして… 「そうだろ?だからッ…」 瞬間、目の前が暗くなった。 頭を強打されたらしい…ふと、頭に触れると、生暖かい液体が溢れてるのが分る。 「…ッ」 意識が…薄れていく。 遠ざかる意識の中…影は俺の耳元で囁いた。 「バカだな、お前。大好きだから…殺してでも手にいれるんだよ」 バイバイ…石田。 そして、俺の意識は途絶えた。 ++ ++ ++ 「石田!!良知君!!」 部屋に駆け込んで叫ぶが返事はない。 一体、どうなってるんだ… ある部屋のドアを開ける。 そして、目の前の光景に目を疑った。 「い、しだ…?」 そこには、ベッド脇で頭から血を流し、倒れている石田の姿。 「島田…」 呼ばれて声のする方を見ると、良知君がうずくまっていた。 「良知君!!」 萩原と二人で駆け寄る。 「石田が…僕を助けようとして…」 震える良知君を抱え起し、萩原に言う。 「救急車呼べッ!!まだ、間に合う!!」 血が、固まってない。流れ出たばかりだろう。 今なら…間に合う。 救急車を呼んだあと、萩原に石田の傷を強く押さえてもらい、出血を抑えた。 助かってくれ… そう願いながら。 「石田…助かるかな?」 尋ねてきた良知君に 「大丈夫、絶対死なねぇよ」 そう答えた。 「…そうだね、しぶといからね」 そう言った良知君が俺の肩口に顔をうずめた。 少し、震えている。 泣いてるのか…? そう思った。 ++ ++ ++ 「よう。元気か?」 病室のドアがあき、島田達が顔を出した。 「あぁ、なんとかな」 答えた俺に 「…石田君、ミイラ男みたい」 と、萩原が笑う。 俺の頭は包帯がグルグル巻きになっていた。 自分では、どうしてこんな怪我を負ったのか覚えていない。 気がついた時には、すでに「ミイラ男」になっていたのだ。 どうも、この怪我のせいで俺は部分的に記憶喪失になったらしい。 良知君に色々説明してもらったけど、イマイチよく理解できなかった。 だって、信じられない話だったから。 「元気そうでよかったよ」 そう言って笑う島田。 「ホント、一時はどうなるかって、すごく心配だったけどね」 何時の間にか入ってきた良知君が苦笑する。 「あ、良知君」 挨拶しようとした島田の袖を、萩原が引っ張った。 「何?」 「島田…帰ろうよ」 「なんで?」 「だって…」 そのまま黙ってしまった萩原に、島田は首を傾げる。 「ま、いいか。確かにまだ無理させないほうがいいだろうし…」 じゃあ、帰るわ。 「またな」 そう言って、島田達は出ていった。 「ねぇ、良知君」 「何?」 「俺、大事な事忘れてる気がするんだけど…」 「大事な事?」 「うん…絶対思い出さなくちゃいけない事がある気がする」 「なんだよ、それ」 笑う良知君に、俺は続けた。 「このままじゃ…きっとダメな気がする」 そんな俺に、良知君は笑って告げた。 「無理しない方がいいよ…今は、ゆっくり休めばいい」 だって… 「思い出す必要もなくなるから…」 良知君の言葉は、俺には聞こえなかった。 ++ ++ ++ 「なぁ、萩原」 「何?」 「どうしたんだよ、お前」 病院を出てから、尋ねてみる。 急に帰ろうだなんておかしかったから。 「…あのね、島田にいってなかったことがあるの」 「なんだよ」 「良知君の事なんだけど…」 「良知君が、どうかしたの?」 「あのね、あの…石田君を助けにいった時…島田、良知君の事抱きしめてたから見えてなかったと思うんだけど…」 「何をだよ。早く言えよ」 「…笑ってたんだ」 「は?」 「良知君…島田に向かって「しぶといからね」って答えたとき…笑ってたんだ」 その笑い方が… 「背筋の、凍るような微笑みだったんだよ…」 ************* って事でこちらはBADENDになります〜。 まぁ、ご想像どおりだとは思いますが(苦笑)。 島田さんが泣いてるんだな、と思っていたとき、実は良知君は笑っていたという…。 しかも、それをゆっちんは見ていた、という…なので、良知君が怖くて、すぐ病院から逃げたんですね〜。 えー、ココだけの話、その2(笑)。 実は石田さんも助からない予定でした(爆)。でも、あまりにも辛かったんで(自分が)記憶喪失ってことで…。 さて、なんだか、わけのわからない連載になってしまいましたが、最後までお付き合いくださいまして本当にありがとうございました!!!石田さんFANの方、そして良知君FANの方…(私も含め・笑)そしてそして、本人様(爆)、痛い思いばっかりさせて本当にすいませんでした〜(汗)。 << TOP |