+ENDING…Ver.2+ さっき、良知君の手は動いてた。 まだ、意識全部を吸い取られたわけじゃない。 だったら…良知君と、影は一心同体だとは思えない。 良知君はまだ戦ってる。 だったら…俺も、戦うしかないだろう。 意を決した俺は、影に向かって足を振り上げた。 「何するんだよッ!!」 影の言葉にも怯むことなく、俺は容赦なく廻し蹴りをかました。 「ッ…」 蹲る影。 ふっとベッドの上の良知君を見る。 …別に、痛がってる様子も無い。 大丈夫だ。影を倒しても…良知君は助かる。 そう確信した俺は、影に向かって近づいていった。 「やめろよ…親友なんだろ?」 影の問いに、俺は首を振る。 「お前は…親友じゃねぇからな。俺の親友は良知君だ。お前じゃない」 「何が…違うんだよッ!」 「良知君は…こんな事しねぇよ」 折れた腕を指差して見せ、俺はそのまま影を抑え込んだ。 「…クッ」 「どうする?俺はもう怯まない。手加減しない。さぁ、戻れよ、元に」 「…いや、だッ」 「だったら、力ずくで戻すまでだ」 そういって、俺は影の上にのり、全体重をかけた。 「つ、ぶれる…ッ」 「ほら、どうする?」 出来るなら、影自身から元に戻るように仕向けたい。 なんだかんだいって、やはり自ら手をかけるのは気が惹ける。 その時、 「石田!!良知君!!」 島田の声がした。 「島田ッ!!コッチだ!!!」 叫ぶと、足音が聞こえてきて… 「石田!!」 ドアをあけると同時に聞こえてきた声に、俺は叫び返す。 「影を…元に戻さなくちゃいけない!!手伝ってくれッ!!」 「…影?それ、影なのか??」 眼を丸くして驚く島田に… 「ベッドで固まってンのが本当の良知君。コッチは影なんだよッ」 と、説明すると島田はやっと近づいてきた。 「何すりゃいいんだよッ」 「とりあえず…降参させたい。だから、上乗って」 「はぁ?」 「俺の上乗って」 「わけ、わかんねぇ…」 呟く島田の後ろから… 「乗ってもいいの?楽しそう〜♪」 と、場に不釣合いな能天気な声と共に… 「うおぉッ!!」 駆け足でダイブしてきた萩原の重みは…一瞬呼吸困難になりかける程だった。 「…も、ダメッ」 下から、影の声が聞こえる。 そして…徐々に、黒い霧がかかり始めた。 見る見るうちにその霧は広がり、俺の体の下から抜け出ていく。 そして、徐々に良知君が意識を取り戻し始め… 「ん…ッ」 ゆっくりと置きあがる。 同時に、黒い霧は、良知君の影に戻った。 「…助かったぁ」 呟いた時…ふと、気がついた。 「萩原…いいかげん、降りれや」 そして、安堵のあまり…気を失った。 ++ ++ ++ 「よう。元気か?」 病室のドアがあき、島田達が顔を出した。 「あぁ、なんとかな」 答えた俺に 「…石田君、ミイラ男みたい」 と、萩原が笑う。 俺の右腕は複雑骨折の為にギブスやら包帯やらで固定されている。 左足も捻挫で、包帯がしっかりと巻かれている。 しかも…気づいていなかったのだが、肋骨もヒビが入っていたらしい。 確かに、「ミイラ男」状態なのだ。 …が、この肋骨のヒビは、萩原のせいだと、俺は思ってるんだけど。 そんな意味もこめて睨んで見せたが、当の本人はまったく気づいてないらしい。 間にいた島田が肩を竦めてみせた。どうやら、コイツは俺の言いたいことを分っているらしい。 「入るよ?」 と、声がして良知君が入ってきた。 「あ、良知君」 島田と萩原が挨拶する中、良知君は俺達に近づいてきて… 「皆、本当にありがとう」 と頭を下げた。 「なんも、してねぇって。良知君が頑張ったから助かったんだよ」 そう言った俺に、 「でも、石田…そんなに怪我して…」 と、シュンとする良知君。 「大丈夫!!この怪我…肋骨は萩原のせいなんだしッ!!」 思わず言った俺に 「ちょっと!!!僕のせいってどういう事!!」 丸い顔を更に丸くして怒る萩原。 「だって、お前が思いきり飛び込んでくるから」 「乗れって言ったの石田君じゃん」 「誰が、走り込んでダイブしろっつったよ!」 「だって、楽しそうだったんだもん!!」 「…まぁまぁ」 島田に宥められる。…なんだか、それも納得できねぇな。 …って、なんだかんだいって、コイツら、何も言わずとも助けに来てくれたんだよな。 持つべきものはやっぱり親友だな。 「とにかく、二人ともありがとな」 「は?何?お礼とかいっちゃってんの?超キショいんですけど」 …前言撤回。やっぱりコイツはムカツク奴だ。 「うるせぇよ。いいからとっとと帰れよ」 「…酷いなぁ、せっかくお見舞いにきたのに〜」 「お見舞いに来てるヤツが、俺の神経を逆なですんじゃねぇよ」 睨んだ俺に、島田は苦笑して… 「ま、とりあえず元気そうでよかったよ。まだ無理させんのもなんだから、そろそろ帰るわ」 じゃあ、またな。 と言って帰っていった。 「石田ぁ」 良知君に呼ばれて「何?」と答えると 「ホントに、ありがとな」 そう言って、笑った。 ++ ++ ++ あの時の俺の決断は間違いじゃなった。 あれから、視線を感じる事はなくなり…良知君が倒れる事もなくなった。 影に勝ったのは俺じゃない。 良知君の意思だったと、今でも思ってる。 もう2度と…影が現れる事はないだろう。 ************* って事で一応HAPPYENDですvv 実はコッチも本当はBADENDにするつもりだったんですよ(苦笑)。 実際に影と良知君は一心同体だった…とかいう設定だったんです。 が、これもあまりにも痛いため(自分がね・苦笑)やめました。 わけのわからない連載になってしまいましたが、最後までお付き合いくださいまして本当にありがとうございました!!!石田さんFANの方、そして良知君FANの方…(私も含め・笑)そしてそして、本人様(爆)、痛い思いばっかりさせて本当にすいませんでした〜(汗)。 << TOP |