○●リセット●○

「わぁ!!!!」
目の前が真っ暗になった。
額から、変な汗が溢れてる。
「太一??太一!!」
肩を揺すられ、慌てて振り向くと、リーダーの心配そうな瞳にぶつかった。
「どないしたん?」
「え?」
わからない…今、自分は何をしてたんだろ。
呆然としている僕に、リーダーはまだ心配そうな顔で尋ねてきた。
「寝てたんか?何や怖い夢でも見た?」
夢…
あぁ、そうかもしれない。
何だか、とても怖い夢を見ていた気がする。
「そう、かも」
そういって、ゆっくりと辺りを見回した。
ここは…
「スタジオだ…」
呟くと、リーダーは少し苦笑した。
「何を言っとんねん、太一は。レコーディング中やもん、当たり前やん」
寝ぼけとんなぁ。
言われて、やっと動き始めた頭を回転させる。
そうだ。レコーディング中で…今は、長瀬が歌撮り。
いつもはばらばらにスタジオ入りだけど、今回はライブ感も出してみようかと、一発撮りもやる予定で、全員がスタジオに集まってた。
そうだ。それでまずは一人ずつっていう事になって…
「太一?」
言われてハッと顔を上げた。
「ゴメン、大丈夫。思い出した。そうだよね、レコーディング中だったよね。やっぱり、ちょっと寝てたみたい」
そういうと、リーダーはフワっと笑った。
「太一、疲れとるんちゃう?アレンジとか、ずっと徹夜でやっとったもんな」
「や、それはそんなに大変じゃないんだけど…ゴメンね、ちょっとだけ寝不足みたい」
「ええよ、そないに気ぃ使わんとき」
リーダーは、僕の肩をポンっとたたく。
そして、思い出したようにポケットをあさる。
「せや、太一。飴ちゃんいるか?疲れてるやろ?甘いもん食べとき」
そういって、僕の手のひらを上に向かせ、コトン、と飴を一つ。
「ん、ありがと」
言うと、リーダーは優しく笑って、ブースの方へと向かっていった。
貰った飴を口の中に放り込む。
少し強めな甘さが口の中に広がる。
「ちょっと、目ぇ覚ましてこようかな」
そう思って、スタジオを抜け、階段へと向かう。
この階段を上ると、屋上へ辿り着く。
ドアを開けると、少し眩しすぎるくらいの日差しが差し込んできた。
「まぶしッ…」
思わず手をかざす。
「太一君」
聞こえた声は、聞きなれた声。
「松岡、ココにいたんだ」
言うと、松岡は口の端を微かにあげて微笑む。
「珍しいでしょ、俺が太陽の下にいんの」
「自分で言っちゃってるよ」
そう言って笑った。
「似合わなくない?俺」
「そう?そんな事ないよ。ただ、夜のが似合うってだけ」
「そりゃしょうがないわ。俺のキャラだしね」
そう言って、松岡は僕とすれ違い、スタジオへと戻ろうとする。
「戻るの?」
「うん、そろそろ出番だしね、俺」
そう言って、松岡はヒラヒラと手をj振って階段を降りていく。
「あ、そうだ」
途中、松岡が振り向いた。
「何?」
「気をつけて。柵、壊れてるトコあるから」
「ああ、うん。わかった」
そう答えて、僕は景色を眺めようと歩き出した。
不図…めまいがした。
気のせいか。
でも、何か体がフワフワする。
「はぁ…疲れてんだな、やっぱり」
そう呟いて、柵によりかかる。
大きく伸びをする。
すると、ドアからヒョコっと人懐っこい顔が覗いた。
犬みてぇ。
苦笑する。
「太一く〜ん!!!!」
そう言って、長瀬がこっちへ歩いてくる。
僕も長瀬に向かって近づこうと、柵から身体を起こしかけたその時…


空が



揺れた。




「太一君!!!!」
長瀬の叫び声。

あぁ、
世界が回る。


「柵、壊れてるトコあるから」

松岡が、言ってた。

そっか、壊れてたんだ。

そんなことを、冷静に考えてみる。

僕は…落ちてく。
このまま
落ちて…

ゾクっとした。
嫌だ!!!
嫌だ!!!!嫌だ!!!!
地面が近づく。
「う、うわぁ〜!!!!!」


「わぁ!!!!」
目の前が真っ暗になった。
額から、変な汗が溢れてる。
「太一??太一!!」
肩を揺すられ、慌てて振り向くと、リーダーの心配そうな瞳にぶつかった。
「どないしたん?」
「え?」
わからない…今、自分は何をしてたんだろ。
呆然としている僕に、リーダーはまだ心配そうな顔で尋ねてきた。
「寝てたんか?何や怖い夢でも見た?」
夢…
あぁ、そうかもしれない。
何だか、とても怖い夢を見ていた気がする。
「そう、かも」
そういって、ゆっくりと辺りを見回した。
ここは…
「スタジオだ…」
呟くと、リーダーは少し苦笑した。
「何を言っとんねん、太一は。レコーディング中やもん、当たり前やん」
寝ぼけとんなぁ。
言われて、やっと動き始めた頭を回転させる。
そうだ。レコーディング中で…今は、長瀬が歌撮り。
いつもはばらばらにスタジオ入りだけど、今回はライブ感も出してみようかと、一発撮りもやる予定で、全員がスタジオに集まってた。
そうだ。それでまずは一人ずつっていう事になって…
「太一?」
言われてハッと顔を上げた。
「ゴメン、大丈夫。思い出した。そうだよね、レコーディング中だったよね。やっぱり、ちょっと寝てたみたい」
そういうと、リーダーはフワっと笑った。
「太一、疲れとるんちゃう?アレンジとか、ずっと徹夜でやっとったもんな」
「や、それはそんなに大変じゃないんだけど…ゴメンね、ちょっとだけ寝不足みたい」
「ええよ、そないに気ぃ使わんとき」
リーダーは、僕の肩をポンっとたたく。
そして、思い出したようにポケットをあさる。
「せや、太一。飴ちゃんいるか?疲れてるやろ?甘いもん食べとき」
そういって、僕の手のひらを上に向かせ、コトン、と飴を一つ。
「ん、ありがと」
言うと、リーダーは優しく笑って、ブースの方へと向かっていった。
貰った飴を口の中に放り込む。
…何だか、奇妙な感じがした。
何度も…この飴を食べている気がする。
「…目ぇ覚ましてこよう」
僕は歩き出した。
階段へ向かうと、山口君にあった。
「太一」
「何?」
「階段は昇るなよ」
「何で?」
「…また、リセットされるぞ?」
…何、が?
キョトンとした僕を残し、山口君はいなくなった。
少し気味が悪いので、屋上へ行くのはやめ、自販機に向かう。
そこには、長瀬の姿。
「あれ、歌入れ終わったの?」
尋ねると
「うん。だって、太一君心配だから」
「は?」
「何度もボタン押させないで下さいよ」
「何?何の話だよ」
「わかんなくていいんですけどね、とりあえず、今回は間違ってないですから」
そう言って、長瀬は「はい、」と紙コップを差し出す。
僕は、意味もわからないまま、差し出された飲み物を口にした。
これを飲むまでに…とても長い時間がかかっていた気がする。

気のせい、だろうけど。




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あぁもう!!!
書きたいことは決っているのに、表現力がない…。
反省。
反省といえば、実はこれの前にあるお題「サイン帳」。本当は順番どおりに書いていこうと思ってたんですが、どうしてもネタが浮かんでこなかったので、こっちを先に書いてしまいました…。反省…。