++其の壱++

 
七不思議も解決し、学校から忘れ去られた頃。
萩原は野田が出してくれたお菓子を食べながら、ゆったりとした昼休みを満喫し、穏やかな生活を送って…いられるわけがなかった。
「萩原ッ」
その声は萩原の気分を地球の奥底、マグマの中心まで落し入れる力があった。
「…萩原、また呼んでるよ?」
野田が少し憐れんだ眼で萩原を見る。
「…聞えてるよ」
仕方なく振り向いたと同時に腕を掴まれる。
「早くッ!!皆待ってるから」
言うなり凄い力で萩原を引っ張っていく。
「島田ぁ…痛い」
「急げよ、昼休み終わるだろッ」
…じゃあ、無理に昼休みに話さなくてもいいじゃない。
そう心の中で思いながら、野田に名残惜しい眼を向けて教室を出た。
…正確には、野田のお菓子が名残惜しかったのだが。
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「また?」
生徒会室に連れてこられ、席に座ると同時に聞かされた言葉に萩原が大袈裟に溜息をつく。
「今度はホントだってッ」
「そんな事言ってさぁ、この間だって結局近所の子猫の鳴き声だったじゃない」
疑いの眼を向けると、島田は必死に反論する。
「や、この間のは確かに違ったけどッ!!今回はホントだってッ!!」
「…ごめん、萩原。俺が見ちゃったんだよ」
ふと会話に混ざってきた良知に萩原が首を傾げる。
「見たって…何を?」
「男の子。小学生くらいかなぁ…」
「ほらッ!!良知君が見たんだから、間違いないって」
胸を張る島田。
…別に、島田が威張る事じゃないと思うんだけど。
仕方ない…、と呟いて萩原が良知に尋ねる。
「何処で、見たの?」
「あの、学校で噂になってる幽霊屋敷」
「…良知君がそういうトコ進んでいくとは思わなかったなぁ」
萩原が言うと、良知君は少し申し訳なさそうに笑う。
「実は…島田に頼まれて」
「は?」
「萩原を動かすには確実な証拠を突きつけなきゃダメだろうってアドバイスしたんだよ」
悪戯っ子の様に笑う屋良。
「それにさ、もし本当に幽霊屋敷だったらほっとくわけにもいかないからなぁ」
何故か深刻な顔で頷く石田。
萩原はもう一度大きく溜息をついた。
なんだかんだと理由をつけてはいるが…結局、このメンバーはノリ易いのだ。
…自分も含めて。
「その幽霊屋敷って、誰か被害にあってるの?」
尋ねた萩原に、島田はニヤッと笑って言った。
「くわしくは、放課後な」
…じゃあ、最初から放課後でもよかったんじゃ。
思わずツッコミを入れる萩原。
…もちろん、心の中で。

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新連載開始です〜。といっても「不可思議」の続編なんで、人物設定とかは何も考えなくてよかったんですが…内容!!これが一つも考えてないんです(ヲイ)。しかもタイトル「続」つけただけだし(笑)。でも、このタイトル結構気に入ってるんでいいかなぁと(笑)。
今回はショートストーリー的に、色々な話を詰めていきたいなぁ〜とかも思ってます。こんな連載ですが…よろしくお付き合い下さいvv


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