++NO.11++

「と〜っても不本意」
箒の柄に顎をのせて溜息をついた。
「幸人君、どうしたの?」
一哉君が覗きこんでくる。
…だって、
「どうして、今日も島田は掃除にこないわけ?」
確かに一緒に学校をでたのに…。
「幸人君、途中ではぐれたんやろ?」
「…っていうか、いつのまにか消えてたって感じ」
どこ消えてんだろ。
と呟いたらドアが開いた。
「ちゃんと掃除してるか?新人」
ニヤっと笑って入ってきたその人物は…
「島田ッ!!どこ消えてたのさ!!!」
「消えてねぇよ、お前が勝手に迷子になったんじゃねぇか」
「迷子になんかなってないよ」
ちょっと横道にそれてただけだもん。
「ま、どっちでもいいじゃん」
じゃ、頑張れや。
そういって消えようとする島田。
「逃がさないよ〜」
島田の襟首を掴む。
「ちょ、離せって」
「掃除」
「萩原、離せよ」
「掃除!!」
「…ったく、わかったって」
仕方ねぇな…
ぶつぶつ言いながら、掃除をする島田を満足げに眺めていたら
「やっぱり幸人君ってすごいんやなぁ」
と、また一哉君に感心された。
++ ++ ++
「幸人さん、6番です」
中村君に呼ばれてテーブルに向かうと、ここ毎日通ってくれてるお客さんが座ってた。
「こんばんわ」
にっこり笑って隣に座る。
「幸人君、お菓子食べる?」
そう訊かれて、満面の笑みで頷く。
「じゃあ、頼んであげる」
そう、猫塚さんはいっつも僕の食べたいモノ、飲みたいモノを注文してくれるんだ。
でも…
「今日は仕事の帰り?」
と、尋ねても…
「幸人君、コレ美味しいよ?」
と、はぐらかされる。
ここ2週間ほど毎日通ってくれてる猫塚さんだけど…僕は彼女について、何一つ知らない。
名前しってるくらいなんだよなぁ。謎な人だなぁ…。
でも、優しいからいいかv
「猫塚さん、これも美味しい!」
お菓子を食べながら仲良く会話してたら…
「お前、コレ以上食べたら絶対ヤバイ」
後ろから島田のツッコミが…。
「何が?何がヤバイの!!」
ちょっと怒ると、
「だから、破裂するっつーの」
そういってさっさと別のテーブルにいってしまった…。
「ひどいや」
呟くと、
「幸人君は今のが可愛いよ」
猫塚さんが頭を撫ぜて慰めてくれた。
「ありがと…」
ホント、猫塚さんってイイ人。…謎だけど。
++ ++ ++
猫塚さんが帰った後、しばらく「部屋」で休んでたら珍しく治樹君がやってきた。
「めずらし〜。治樹君、指名待ち?」
尋ねると、勝ち誇ったようにニヤっと笑う。
「俺が指名きれるわけないやん」
ちょ、休憩。
「休憩って…もしかして、指名逃げたの?」
「店長には内緒やで」
「…いいけど。あ、そうそう聞いてよ。不思議なんだよ」
そう言って僕は治樹君に猫塚さんの謎を説明したんだけど…
「あんな、幸人に「不思議」とか「謎」とか言われたない思うで」
俺にしてみれば幸人のが不思議や。
治樹君が笑う。
「僕、不思議じゃないよ」
いたって普通の17歳だって言ってるじゃない。
「あんな、不思議やなかったらなんで新人がNO2まで上り詰めてきてんねん」
え?
「僕、今NO2なの??」
「ま、直樹と並んでやけどな。幸人、直樹と同じだけ売上あんねんで」
不思議な話やろ?
治樹君が笑う。
信じられない…。
もしかして、NO1も夢じゃないかも!!
眼を丸くしてびっくりしている僕に、治樹君は少し苦笑して
「さて、不思議ちゃんに抜かれたらあかんから、仕事するか」
大きく伸びをして「部屋」から出ていった。

僕が…NO2。島田と同じNO2。
…て事は、もう島田に「新人」って苛められなくてもいいんだ!!
掃除だって島田に文句言わさずやらせたっていいんだ!!
すごいなぁ、NO2ってvv

…ところで。

NO2って、他に何かいい事あるのかな?




*********
お久しぶりの第11話です。
今回は猫塚さんの登場ですv「幸人指名の謎の人物」というリクだったんですけどね…(汗)。
ごめんなさい、あんまり謎じゃないですよね(謝)。
さて、とうとうNO2まで来ましたね〜。
当の本人はよくわかってないみたいですけど(苦笑)。
幸人は果たしてNO1になれるのか??
島田より威張れる日はやってくるのか?(笑)
以下、次号(笑)。

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