++NO.16++

事件も起きて大変だったけど、一夜あけたお店は何事もなかったように元通りになってた。
「おはよう、幸人君」
掃除をしようとしたら、先に掃除をしていた一哉君に声をかけられる。
「おはよう、一哉君」
一哉君、辞めなくってよかった。
あの後、一哉君は治樹君と帰っていった。
きっと、治樹君が説得したんだろうなぁ。
「…色々、ごめんなぁ」
照れくさそうに一哉君が言う。
「いいよ、僕たち友達だもん」
そんな会話をしていたら、後ろから
「喋ってないで掃除しろよ、新人」
と、意地悪い声が。
「うるさいなぁ。島田なんて掃除した事ないんだから、文句いわないでよ」
つい、口答えしてしまった僕。
「はぁ?お前、俺に向って言ったんだよな、今」
「え、あの…違うッ!!!」
あわてて言ったものの…
「もう遅ぇよ。一哉。お前、昨日色々あって疲れてるだろ?掃除、しなくていいからコッチ来いよ」
コーヒーでも飲もうぜ。
「え??でも…掃除が」
戸惑う一哉君に島田が更に…
「大丈夫、幸人が一人でやるってさ」
え〜!!!!
だって、掃除は今始まったばかり。これから一人で店全部掃除するのはかなり大変…。
「ちょ、島田ッ!!!」
「なーおーきーだっつってんだろ」
「…直樹ぃ〜」
「甘えてもダメ、」
ほら、一哉。
と一哉君を引っ張っていこうとする。
「あ、でも…幸人君可哀想やし。僕、掃除するよ」
あぁ…なんて一哉君ってイイ人なんだろ。
感動していると…
「実はさ、治樹が呼んでんだよ」
俺は代りに呼びに来ただけ。
という島田の台詞とともに…
「ほんまに?せやったら行かんと…ごめんな、幸人君」
そういってさっさと行ってしまう一哉君。
「そんなぁ〜」
やっぱり友情って儚い…。
そう思っていたら
「反省したか?」
と、横から睨まれる。
「…」
「もう、俺に口答えしたりしないよなぁ?」
「…もう、しません」
「仕方ねぇな。ほら、手伝ってやるよ」
そういって島田は奥へ掃除しに行ってしまった。
やっぱり、なんだかんだいって優しいんだけどさ…。
でも、その優しさをもう少し表面に出して欲しいんだよね、怖いから。
++ ++ ++
開店と同時に指名の入った僕。
席に座ると、昨日初めて僕を指名してくれたさやさんと目があった。
「こんばんは、幸人君」
「いらっしゃい、さやさん」
ニッコリ笑って尋ねる。
「とりあえず、何飲むの?」
こうしてると…僕ってだんだんホストっぽくなってきたんじゃない?
そんな風にこっそり思ってたら、後ろから声がした。
「あれ?さやちゃん。いらっしゃい」
「あ、こんばんは」
そこには…通りすがりの治樹君。
「さやちゃん、幸人指名やったっけ?」
「うん、そうなの」
「ふ〜ん、残念。俺、結構タイプやねんけどなぁ」
ちょっと、治樹君!!!
「治樹君〜!!!とらないでよッ!!!」
「なんや、ホンマのこと言うただけやんか」
そう言うと、治樹君はニヤっと笑って
「まだ、間に合うし…なぁ、俺にせぇへん?」
さやさんの耳元でボソっと囁いた。
さやさんの頬がほんのり赤くなる。
「ちょっと〜!!!!」
叫んだら、後ろから
「うるせぇよ」
と、またまた通りすがりの友一君に怒られた…。
だってぇ〜!!!
と、膨れてたら…
「お前等、あんまり苛めないでくれる?」
と、島田の声がッ!!
「しま…直樹ぃ〜」
ありがとう!!!やっぱり僕たち親友だね!!
「なんや、直樹。めずらしく優しいやないか」
治樹が意地悪く言うと
「俺はいつでも優しいんだよ」
と負けずに勝ち誇る島田。
「それは知らんかったわ」
と肩を竦める治樹君。
僕の為に島田が治樹君と言い合いしてくれるなんて…やっぱり島田って優しい!!!
と、思ったら…
「コイツ苛めんのは俺の特権だから」
楽しみ、奪わないでくれる?
ニヤっと笑う島田。
…。あっ、そう。
少し凹む僕をよそに、二人は笑いながらいなくなっていった。
さやさんは少しぽーっとして治樹君を見てる。
「さやさ〜ん!!!」
少し、甘えると…
「あ、ゴメンゴメン。幸人クンが一番だよ♪」
と笑顔で言ってくれたけど…
なんだか、複雑…。
…僕って苛められるタイプなのかな?
なんだか頭に来たかも。
治樹君も島田も許さないからね!!!
二人のバカ!!!
絶対絶対負けないからッ!!!
NO1になってやる〜!!!!
「ちくしょ〜!!!飲むぞ〜!!!」

と、一気に飲み干したところで、僕の意識は途絶えた…。
なれないお酒は一気に飲むもんじゃないんだね。


*********
大変お待たせしました〜!!!第16話ですv
今回、さやさんの登場ですv
一応「幸人指名で治樹をからませて」というリクだったんですが…こんなんで良かったでしょうか?
ちょっと、スランプなもんでよくわからない内容になってしまいましたが(汗)。
とりあえず、また平和な(?)店に戻って何よりです。
これから頑張って幸人にNO1目指していってもらいますv

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