正しいバイトのススメ  No.34backnextindex
「おっそいなぁ〜」
今日は念願の温泉一泊出発の日。
僕は迎えに来てくれる店長の車と...拾ってもらうために、待ち合わせをしている島田の両方を待っていた。
「島田のヤツ...なにやってんだろ」
と、そこへゴツイ車が目の前へ。
「...店長?」
助手席の窓が開く。
「お待たせ〜!!」
元気よく叫ぶ石田君。
「...これ、店長の車?」
「いや、俺の車」
「やっぱり、イメージ違うと思った。でも、じゃあ何で店長が運転してんの?」
尋ねると...
「石田の運転、落ち着かないから」
と、顔を覗かせ笑う店長。
「直樹は?」
店長に尋ねられ、首を振る。
「まだ、来ないんだよ...全く」
そう言って、不図視線を向けると、遠くにダルそうに歩いている人影発見。
「来た!島田〜!!」
思い切り大声で呼んで、ブンブンと手を振ってやる。
ダルそうな人影は、ビクっとした動きをし、そして駆け寄ってきた。
「遅いよ〜!!島田!!」
猛ダッシュして、肩で息をしている島田に向って言うと...
「...お前。恥ずかしいから大声で叫ぶな」
「叫べば、島田は走ってくるかなぁ〜と思って」
ニッコリと笑って答える。
「僕だって、いっつもやられてばかりじゃありません〜。ちゃんと学習して成長してるんです〜♪」
言うと、下からギロリと睨まれた。
「覚悟しとけ」
...何を?
ちょっと怖くて少しひるんだ僕をおいて、島田はさっさと車に乗り込んでいる。
「お待たせ」
「おせェよ、直樹」
「っつーか、集合時間が早ぇんだよ」
軽い逆ギレをしつつ、後部座席に乗り込み、ドカっとよしかかる。
「店長〜何処行くわけ?」
偉そうに尋ねる島田に、店長は優しく答える。
「車で2時間くらいなんだけどね。すごく静かでいいとこなんだよ」
「ふ〜ん、じゃ、早く行こうぜ」
...
「ちょっと!!何偉そうに!!島田が遅れてきたんでしょ!!」
「つーか、車だってちょっと前だろ?来たの」
お前が乗り込んでなかったって事は来たばっかりだったって事だろ。
そう言って島田が笑う。
「...確かにそうだけどさぁ」
「いや、それは石田がね」
「良知君!!」
「なかなか起きないんだよ、石田って」
必死に引っ張り起こしてきたんだから。
笑う店長。
「お前も遅れてんじゃねぇかよ」
石田に向ってニヤっと笑う島田。
「うるせぇよ!」
ソッポを向く石田。
「ま、いいか。とにかく行こうぜ」
そう言って島田は、僕の方を見てにやりと笑う。
「何?」
嫌な予感...
と、思った瞬間に!!
バタン!!
僕が乗り込む前に...
ドアが閉められた!!
「ちょっと!!」
ご丁寧にロックされている。
「島田ぁ!!」
叫ぶと、窓が開いた。
「思い知ったか?簡単に俺に勝てると思うなよ」
「...反省します」
「よし、許してやる」
やっとドアを開けてくれた。
「ちょっと、あんまり幸人君を苛めないの」
店長が島田に注意してくれる。
やっぱり店長優しい〜♪
「苛めてないよ。愛情表現」
シレっと答えて、島田は僕を見てウインクしやがった。
「そんな愛情いりません」
「あ、っそ。じゃあ、愛情抜きで苛めてやろうか?」
「...愛情たっぷりでお願いします」
「最初から素直に言えばいいんだよ」
「...勝てない」
僕は思い切り項垂れた。
「ま、お前はこの位が丁度いいんだよ」
可愛い可愛い。
ニタ〜っと笑いながら島田が僕の頭をクシャクシャと撫でる。
う〜馬鹿にされてる感じ。
「全く、なんだかんだ言って仲良いんだから」
店長が笑って、車を発進させた。
...どの辺が仲よさげに見えるのだろう?

とにかく、ドタバタな温泉一泊旅行が幕を開けたって事で。

...ちょっと、島田重いから。
寄りかかって寝るの止めて!!


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NO.34です!
久しぶりの更新なので、感を取り戻そうとリハビリのような回になってしまいましたが。
久しぶりの無駄に元気な(笑)彼らを書いてて楽しかったです。
ずっと暗かったり痛かったりばかりだったので(苦笑)
この位、明るい彼らのノリもやはり書いてて楽しいものです♪