++NO.33++

僕等の世界にはお正月も何もあったもんじゃない。
けど…バタバタと過ごしてきた時間は、僕を成長させてくれた貴重な時間なんだと思うと、文句も言えない。
…いえないんだけど。
「たまには休みたい〜!!!」
モップがけをしながら叫んでしまった。
「何文句たれてんだ、お前は」
後ろからペシっと叩かれる。
「痛いよ島田〜」
「店長にそんなにいいものもらっておいて文句いうんじゃねぇよ」
そんなにいいもの…とは、ROLEXの時計。
島田がお客様からもらったものとおそろいだったりするので、たまにお客様から「二人で一緒に買ったの〜?」なんてからかわれてしまうのがちょっと困るのだけど…
「そうだよ、店長にもらったくせに文句いうなよ」
後ろから友一君の声。
店長に何ももらえなかったって根に持ってるみたい。
「別に文句を言ってるわけではないけど…たまには休んでどっかに出かけたりとかしたいなぁ〜って」
「それを文句っていうんじゃねーの?」
友一君の言葉を遮るように、後ろから声が聞こえた。
「俺は幸人の意見に賛成やな」
「治樹君!!」
あぁ、治樹君が天使に見える!!
「だよね!!」
「たまには羽を伸ばしたくもなるさ。癒しが必要な時だってあるもんやって」
「…どうしたの、治樹?」
友一君がひっそりと島田に尋ねる。
「さぁ…?」
肩をすくめた島田に、一哉君がひっそりと答える。
「なんや、今まで治樹を贔屓にしてくれてたお客様が結婚したらしくて、お店にあんま来られへんようなるって言われてん。売り上げにかなり響くらしくてちょっと凹んでんねん」
「「「あぁ〜なるほど」」」
3人でハモッてしまった。
「どうしたの?皆こんなところで固まって」
店長の声。
「おはよ〜ございます〜」
「おはよう、幸人君。で、何?皆して」
「あぁ…それがですね」
「コイツがね〜休みたいなんてわがまま言ってて…」
「ちょっと、島田!やめてよ!!」
「いや、そしたら治樹のやつもおかしくて…」
友一君まで店長に告げ口〜!!
酷い〜!!
と思っていたら…
「そうだね〜たまには休みも必要だよね」
あれ?
「じゃあ、来週にでも休みをとって癒しの旅にでも出る?」
ニッコリと笑う店長。
「賛成〜!!」
「癒されてぇ〜!!」
治樹君と僕はもちろん乗り気!
「えぇね。僕もたまには旅行したい気もするし」
一哉君もニッコリ笑う。
「…ま、たまにはいいかもな」
島田も呟くと…
「店長も行くなら俺も行く〜!!」
と友一君。
「じゃあ、決まりだね。来週1泊2日で温泉にでも行こうか」
店長の提案に全員で頷いた。
やったv温泉vv
++ ++ ++
「ってことで、温泉旅行の詳細を決めたいと思います!」
営業終了後…何故か一番張り切っている友一君の仕切りで、旅行の計画を立てることになった。
「べつに、決めることなんか何もねぇ〜じゃん」
ボソリと呟く島田。
「確かになぁ〜別になんもないよなぁ〜」
欠伸をする治樹君。
「あるでしょ!!誰が車を出すのか、とか!部屋割りとか!」
「大部屋でいいんじゃない?」
店長が苦笑しながら答える。
「車なら、俺出すし」
治樹君が言う。
「あぁ、僕も出すよ。2台あれば十分だね」
店長が治樹君に続いた。
「…で、決ったみたいだけど?」
島田がニヤリと友一君に問いかける。
「あるでしょ!肝心な事が!!」
「何?」
「何処に行くのか!!そして何時集合なのか!!ホラ〜こんなに決める事いっぱいあるじゃん!!」
張り切る友一君に
「俺、あとはお任せするわぁ〜。場所は特に希望もないし、時間は決ったら教えてもらえればそれでえぇし」
じゃ、よろしく。
「帰るぞ、一哉」
それだけ言って、治樹君は立ち上がる。
「あ、待ってや、治樹」
一哉君も続く。
「…俺も、特に希望なし。あとは友一が店長と決めてくれればいいや」
なんて人任せな台詞を!!
「ダメだよ、島田。皆で行くのに皆で決めないと!!」
「皆で決めたほうが決らない場合もあるんだよ。お前、どっか行きたい温泉決ってる?」
「や、別に」
「だったら、居てもしょうがないだろ?」
「まぁ、それは…」
「って事で、俺等も帰るわぁ。友一、あとよろしく」
言うと島田は立ち上がる。
「あ、ちょっと…えっと、ごめんね友一君、店長、お先に失礼します!」
一応謝って島田を追いかける。
ま、二人に任せておけばいいかv
楽しみだな〜♪温泉vv

++ ++ ++
「まったく、皆して人任せなんだから」
苦笑する店長。
「酷くね?特に幸人と治樹なんて自分達から言っといて」
拗ねる石田の頭をポンポンと軽く叩く。
「拗ねない拗ねない。じゃあ、これからうちでご飯でも食べながら決める?」
良知の言葉に
「そうする!」
ご飯、と聞けば機嫌の直る石田だった。










*********
次回予告みたいなもんですね、今回は。
温泉旅行が書きたかっただけなんですけど(爆)。
いや、唐突に。たまにはいいかなって(笑)。
って事で、今回は「温泉旅行」予告編。
だから短い(爆)。


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