+第2話+ HRも終わり、良知君がくるのをずっと待ってるんだけど… 「遅いなぁ、良知君」 呟くと島田が覗き込んできた。 「帰んないの?」 「良知君、待ってるんだけど…」 来ないんだよね。 そう言うと、島田は「ふ〜ん」と言いながら 「石田が行けばいいじゃん」 3年のトコ。 とサラッと言った。 「や…つーか、行き辛くね?」 「なんで?」 「なんかさぁ、怖いじゃん」 「そう?」 「…お前はな」 「でも、待ってても来ないなら行くしかないよな」 「…確かにね」 仕方ない… と、鞄を抱えて立ち上がる。 「付いてってやろうか?」 笑いながら島田が言う。 「うるせぇよ」 島田を睨み付けて教室を出る。 向かった先は良知君のクラス。まだ半数以上が残っていた。 入り辛くて、ちょっと遠くから覗いていると… 「何やってんの?」 後ろからいきなり声をかけられる。 「びっくりしたぁ…なんだ、屋良君か」 「…なんだってなんだよ」 「あ、すいません…」 でも、良かった。屋良君で。 屋良君は良知君と同じクラスの3年だけど… 年上には思えないタイプで、緊張しない。 「誰か、探してんの?あ、ラッチ?」 「あ、そうなんですけど」 「ラッチなら保健室」 「はぁ??」 保健室?? 「そ、授業中、また急にフラフラして倒れたんだよね。そのまま保健室直行」 「マジですか?」 「だからさ、ラッチの鞄持って迎えにいってやって」 そういうと、屋良君は教室に入り、鞄を持ってきた。 「よろしく」 笑顔で渡され、受け取る。 「保健室…」 大丈夫かな、良知君。 最近、良知君は倒れる事が多い。 それも…俺があの「恐怖」を感じるようになったのと同じ位から良知君は見るからに弱ってる。 何か…関係があるんだろうか。 そう思いながら保健室を尋ねると 「あ、石田」 「良知君」 そこには、保険医と呑気にお茶をすする良知君の姿。 「鞄、持ってきてくれたんだ。ありがと」 よく行けたね〜、俺のクラス。 笑いながら言う良知君に、少し怒った口調で尋ねる。 「何やってんの?倒れたんじゃないの?」 何起きあがって茶ぁすすってんだよ!!寝てろよ!! 「あー、たいした事ない。寝たらスッキリしたし」 「だけどさぁ」 「もう、大丈夫。ほら、帰ろう?」 先生、ごちそうさま。 そう言って良知君は立ち上がる。 「でも…」 まだ続けようとする俺に 「いいから、行くよ」 と良知君は急に先輩っぽく命令すると、俺の腕を引っ張った。 ++ ++ ++ 「ホントに、大丈夫なの?」 いつものファミレスでご飯を食べ、食後のコーヒーを飲みながら今更な質問をする。 「大丈夫だって。心配性だなぁ、石田」 「だってさ、もう今週だけで何回倒れてる?」 「…ちょっと疲れてるだけだって」 「そうかなぁ…ちゃんと寝てる?」 「寝てるよ〜」 「最近、顔色も悪いしさぁ」 「って、それはお前も」 「や、俺はいいんだって。良知君のが心配なのッ」 と、いきなり背筋が凍りつく感じがした。 いつものだ… 「石田??」 「…や、何でもない」 全身に鳥肌が立つ。 ジワジワと背筋に冷たいモンが走る。 誰かが…いる。 確実に、突き刺すような視線を感じる。 それは、ある意味殺意を感じさせる視線で。 「大丈夫か?石田。顔、真っ青だぞ?」 言われて慌てて首を振る。 「大丈夫、何でも、ない…」 その視線は、体中に纏わりつくように絡み付いてくる。 思わず、振り向く。 が、そこには誰もいるはずがなく… 恐怖を消し去るように頭を左右に何度か振ってみる。 「…石田、帰ろうか?」 そんな俺に、良知君が心配そうに尋ねる。 「ごめん、とりあえず…ココ出てもいいかな?」 視線は感じなくなったが、なんだか居心地が悪い。 店を出て、歩いていると良知君が申し訳なさそうに呟いた。 「ゴメンな、石田具合悪そうなのにつき合わせて」 「それはコッチの台詞。良知君、倒れたばっかじゃん」 「や、俺は大丈夫なんだけど…無理させてゴメン」 シュンっと項垂れる良知君。 可愛いなぁ、この人。 「全然無理なんてしてないって。俺、良知君と一緒にいるの好きだし」 「ホント?」 「ホント、ホント」 笑って答えたと同時に、また悪寒が走る。 「石田…?」 心配そうな良知君の顔。 あー、結局心配かけてるよ、俺。 「なんでもないよ!それよか、良知君もう遅いし、帰って休んだ方がいいよ?」 なんか、顔色悪いし。 そう言った俺に、良知君は渋々頷くと 「石田…何かあったら相談しろよ?」 と言って、帰っていった。 と、同時に視線も消える。 「なんだよ、いったい…」 そう…この「恐怖」は良知君と一緒にいる時に感じる事が多い…というか、良知君の話をしたり、一緒にいる時にしか感じなかったりする。 「こんなこと、良知君に言えるわけ無いよなぁ…」 言ってしまったら、あの人は自分のせいだと思って悩むに決まってる。そういう人なのだ、あの人は。 「はぁ…」 どうしよ。 やっぱり明日島田達に相談してみるか…。 溜息をついて、俺は家へと急いだ。 ************* はい、第二話です。いや、どうでもいいけど、この石田、良知の事好き過ぎ(爆)。 この連載はあまり長くしない予定なんですが…私の事ですから、どうなるかわかりません(笑)。 あんまりねぇ、シリアスなの長く書いてると自分が暗くなっちゃうんで…(苦笑)。 << TOP << BACK NEXT >> |