+第1話+

『忘れないでね…』
僕の事…、絶対に…
『約束…したのにッ』

思わず、跳ね起きる。額には薄らと汗が浮かぶ。
「また、かよ…」
もう、何日同じ夢を見ているのだろう。
夢??いや、ただ言葉だけが永遠に繰り返される。
…忘れないでね
そう、それは昔。子供の頃に聞いた記憶のある言葉。
でも…
「誰、だっただろ」
告げた相手の顔は完璧に忘れていた。
まるで、覚えていたくなかった事のように…
++ ++ ++
「おはよう」
「よ、」
「どうしたの?元気、ないよ?」
そう言って、俺の顔を覗き込む萩原。
「そんな事、ないよ」
そうは言っても、連日繰り返される意味不明な夢によって、正直疲れていた。
「んー、でもなんだか顔色悪いよ?悩み事?」
悩み事…確かにそうかもしれない。
「まぁ、な」
「ふーん、何かあったら相談してね」
僕と、島田の仲じゃない。
そういって萩原は笑う。
「助けて、くれんの?」
お前が??
意地悪そうに言ってやると、萩原は少し膨れる。
「もう、信用ないなぁ。大丈夫、約束するッ」
約束…
     『約束…だよ、』
まただ…
頭に直接話しかけてくるような声は…
どこか懐かしく…どこか聞きなれている声だった。
++ ++ ++
「島田ぁ」
呼ばれて、振り向く。石田がコッチに向かって走ってきていた。
「何?」
「一緒に、帰ろうぜ」
「なんだよ、急に」
思わず笑うと
「最近さ、お前変だから気になって」
「はぁ?」
「疲れきってる感じだし…それに」
そこまで言って、石田は口を閉ざす。
「なんだよ、気になんだろ?」
少し怒った口調で言うと、石田は慌てて謝る。
「や、なんでもないよ。とにかく、今日はとことん付き合うからさ、悩みあるんなら全部話せよ」
と、肩を叩く。
「…なんで、お前に悩み相談しなきゃならないんだよ」
そうは言ったものの、実際誰かに相談したかったのは事実だった。
ここ数日見つづけている夢は…ただの夢とは思えなかったからだ。
「話せば…少しは楽になるかもよ?」
その石田の言葉に心は揺れた。
「…奢ってくれんなら、付き合ってもいいけど」
素直に相談したい、と言えない俺の精一杯の答えに
「えー!!仕方ねぇな…。いいよ、奢ってやる」
ただし、良知君がね。
そういって携帯を取り出す。
「なんだよ、お前が奢ってくれんじゃないのかよ」
笑って言うと
「残念ながら、金の相談だけは、受付けてないんだよ」
そう笑って、良知君の携帯を鳴らす。

          『忘れないでね…』

風が、俺たちの間を通りすぎていった…。

*****
えー、連載始めてみました。相変わらず、思い付きで書き始めてますので「こんな感じ」っていう大まかなイメージしかないんですが、多分かなりシリアスなものになってしまうかもしれません。「コインロッカー」より、痛いかもしれないですね…。って、そういやぁ「コインロッカー」終わらせないと(笑)。
タイトルはですね、某作家さんの「囁き」シリーズからとったわけではありません(笑)。
バクチクの「囁き」って曲がありまして…。好きなんですね。
で、どっかで使おうとずっと思ってまして…。
全く、イメージ違いますけど今回使わせていただきました(笑)。
さて、こんな感じで…相変わらずタラタラと連載していくと思いますが、ヨロシクお付き合い下さると嬉しいですvv


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