NO2 どのくらいたったのだろう…。 目を覚ました時、カーテンからは強い日差しが差し込んでいた。 まだ少し重い身体を無理やり起こし、ベッドを降りる。 「どこに、いるのかな?」 慎吾を探して、家の中を歩き回る。 荷物の少ない家。まるで生活感がしない。 ふと、ある部屋の前に立つ。声が、聞こえる。 「…うん、そう。とにかく…」 何を、喋っているんだろ… 「しばらく…だから、…も…頼むよ…」 途切れ途切れに聞こえる会話。 まさか、僕の事、ばれてるわけじゃ… 不安になって思わず逃げ出しかけた時、ドアが開いた。 「あれ?おはよう」 「…お、はよう」 「何やってるの?こんなところで」 「慎吾、探してた…」 言うと、慎吾はふわっと笑うと 「お腹、すいた?」 と尋ねてくる。 そうじゃないけど…それも外れてもいない。 「うん…えっと、それと…」 「どうしたの、」 「僕の、服どこ?」 「服??あぁ、もうボロボロだったから処分したけど」 「えっ…」 絶句してしまった僕を慎吾は不思議そうに覗き込む。 「大事な、服だったの?」 「や、服は別に…」 言いよどんだ僕に、慎吾はふと気がついた感じで笑う。 「あぁ、薬?」 「そう!!どこにあるの??」 「あれなら、ちゃんと避けてあるよ」 良かった…。 「返して、もらえる?」 「アレがないと、大変だからね」 呟く慎吾。 …ちょっと、まって。 「慎吾…何の薬か知ってるの?」 「内緒」 「どうして!!」 「朝幸も、秘密があるんでしょ?僕も一緒だよ…お互い、話したくなるまで詮索はしないようにしよう」 OK? 聞かれてとりあえず頷く…が、 「でもね、僕…もう行かなくちゃ」 「どこに?」 「捜しに行かなきゃ…」 「誰を?」 「友達」 「はぐれたんだ?」 「うん…一緒にって…約束したのに」 気がつけば、逸れてしまっていた。 「大丈夫」 突然、慎吾が言った。 「何、が?」 「友達、一緒に探してあげる」 「え??」 「僕ね、こう見えて結構頼りになるよ?」 慎吾が笑う。 「ありがと…いいの?」 「もちろん。ペットは多いに越したことはないからね」 「ペットじゃないって…」 「何か言った?」 「言ってません」 「じゃあ、とりあえず…ご飯食べて、それから捜しに行こうか?」 「うん!!」 そうして、僕と慎吾の奇妙な生活はスタートする事になった。 ++ ++ ++ 食事をして、少し横になる。 まだ、身体が本調子じゃない。 だいたい、逃げ出す前もずっとベッドに縛り付けられていたんだ。突然動いたら辛いに決まってる。 「はぁ…」 小さく溜息をつく。 っと… 「朝幸、薬飲みな?」 そういって、慎吾が僕の薬を持ってきてくれた。 「…慎吾?」 「そろそろ、飲んだ方がいい」 コップを差し出されて、僕は薬を飲んだ。 …確かに、最後に薬を飲んだのは慎吾に拾われる2日前。逃げ出してから1度しか口にしていなかった。 よく…抑えてたもんだ。 それにしても… 「ねぇ、」 「何?」 「慎吾、何か知ってるの?」 「何を?」 「…色々」 「知ってるかもね」 「じゃあ、僕の事も?」 思わず聞いてしまった。 どうしよう…敵だったら。 また連れ戻されるのは嫌だ。絶対に嫌だ!! 「…大丈夫、少なくとも僕は敵じゃないよ」 そんな泣きそうな顔しないの。 言われて、自分が泣きそうになってた事に気がつく。 「…ホントに?」 「大丈夫。朝幸は僕のネコなんだから」 見捨てたり、しないよ。 優しく微笑む慎吾に思わず抱きついた。 「ホントだよね?見捨てないよね?」 もう…裏切られたくない。 「泣くんじゃないよ、」 「泣いてないもん」 「ハイハイ…」 苦笑しながら、慎吾は僕の頭をずっと撫ぜてくれていた。 しばらくして、顔を上げると、慎吾が尋ねてきた。 「そろそろ、泣き止んだ?」 「…ん、ゴメン」 「じゃあ、出かけようか」 「…どこに、行くの?」 「捜しに行くんだろ?友達」 「うん!!」 「だったら、ついておいで」 先を行く慎吾を慌てて追いかけた。 一体、何者なのかはわからないけど…今、僕が頼れる相手は、慎吾しかいない。 ********** おっと、続けて更新vv 気分ノってます(笑)。こういうお話ダイスキですvvあぁ…ゾクゾクしますぅ〜(爆)。 まだまだ町田さんと屋良っちしかでてきませんねぇ…。一応電話の相手も出てきてるのか(笑)。 次回あたり、出てきますよ。別の方たちvvあぁ…こういうの書いていると…暗いんだけど楽しい(何)。 ≪≪TOP ≪≪BACK NEXT≫≫ |