++第9話++

「もしもし?ヨネ??」
やっと繋がった携帯に向かい、町田は少し上ずった声で呼びかけた。
「今何処?え??そうなの??あ、うん。えっと…ちょっと話が。うん、そう」
しばらく話し続け、
「じゃあ、15分後に」
と電話を切った。
「どうなった?」
石田が尋ねると
「えっと、ココから近くのファミレスに15分後に待ち合わせ」
「…最初から電話してりゃ早かったのにな」
思わず呟く島田の言葉に
「ゴメン…」
と瞳を潤ませる町田。
「いいんだよ、町田さん。気にしないで。島田はいつも口が悪いんだ」
フォローする良知に
「ひどくね?その言い方」
と少し口を尖らせる島田。
「本当の事だしね」
と、サラリと交わし
「じゃあ、向かおうか」
と歩き出した。
++ ++ ++
米花は、約束の5分前に現れた。
「ヨネ!!こっちこっち!!!」
嬉しそうに呼びかける町田。
「町田さん、何?どうしたの??すげー久しぶりなんだけど」
生きてたの、アンタ。
顔をあわせたとたんに繰り広げられる会話に良知たちが目を丸くする中、
「生きてたよ〜。ヨネ、久しぶりだね〜。元気だった〜?」
とイマイチ噛みあわない会話を返す町田。
米花はテーブルに着き、店員を呼び
「コーヒー追加」
というと、町田の方に向きなおす。
「で、この人たちは?」
「あ、申し遅れました。こういう者です」
名刺を差し出す良知。
「…見つけ屋?」
訝しそうな視線を送ってくる米花。
「えぇ、代々、ひっそりとやらせて頂いてます」
そんな視線にも負けずニッコリと笑う良知。
「で、そんな人が俺に何のようなわけ?」
「実は…ご友人の屋良さんのことで」
「屋良っち?」
「えぇ、実は、屋良さんがある物を無くしてしまいまして…それに米花さんが深くかかわっているのではないかと思いお話を聞かせていただけたらと…」
「は?俺が何かしたって言うわけ??」
ちょっと、怒り気味な米花を慌ててなだめる。
「いえ、そうではなくて。屋良さんとケンカなさってますよね?そのことについてお聞きしたいんです」
「…俺達のケンカと、屋良っちの探し物、何が関係あるわけ?」
「屋良さんがなくされたものは…声なんです」
「は?声??」
目を丸くする米花。
「そうなんです。それで、声がなくなった原因はお二人のケンカではないかと思いまして」
「…そんなの、俺、関係ないじゃん」
「何が原因だったんですか?」
「確かに、俺がちょっとからかいすぎたのかもしれないけど…アイツ、すげーキレたんだよ。俺、すげー言われようだったんだぜ?」
「…何て言われたんですか?」
「ヨネなんて大っ嫌い!!!てめぇの顔なんて二度と見たくねぇよ!!!消えちまえ!!!ふざけんな!!!・・・まぁ、こんな感じで」
「…米花さん、そんなに屋良さんを怒らせるなんて、何を言ったんですか?」
「や、別に思ったことを言っただけで」
「何ですか?」
「女みてぇとか…ちっちゃいとか…」
思わず顔をあわせる3人。
「それ、だけですか?」
「そ、それだけ」
「…そんなにまで、怒ることかなぁ」
島田の言葉に
「僕、嬉しいかも…」
と横でひっそり呟く町田。
「でもさ、気にしてる人間にしてみれば、他の人にはたいしたことなくても、ものすごく傷つく事だってあるからね」
良知の言葉に石田も頷く。
「確かにね、そういうのあるよね」
「…で、その後屋良さんには、」
「逢ってないよ。全然顔あわせてない。学校も休んでるしさ。ちょっと心配だったけど、俺から折れるのも癪に障るし」
肩をすくめる米花。
「あの…屋良さんに会ってもらえませんか?」
「俺、謝る気ないけど?」
「それはかまいません。ただ、逢ってみていただけないかと…そうしたら、屋良さんの声にも何か変化があるかもしれないですし…」
「…別に、いいけど」
絶対、俺からは謝らないよ?
念を押されつつも、何とか米花を誘い出す事に成功するも、良知は少し不安を抱えていた。
果たして…屋良の声は米花と会うことによって戻るのだろうか。



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第9話です。
短い、しかも進んでない(滝汗)。
でも、一応更新。
何とか更新。
何だか、時間が経つ間に、どういう内容にするんだったか忘れちゃって(爆)。
これから、ゆっくり思い出します…。

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