++其の十六++


全員が旧校舎へ急いだ。
「だめだよ…間に合わない」
萩原が呟く。
すると、大野は立ち止まり、呪文を唱え始めた。
            
大野の指が空を切った瞬間、真っ白い鳥がものすごい早さで飛んでいった。
…旧校舎目掛けて。
「今のって…」
「桜の木のところで見た鳥に似てる」
島田と石田が顔を見合わせた。
「良知君の式神と、そっくり…」
萩原も少し驚いた顔をする。
「そりゃね、僕が良知君に教えたんだもの。そんなことより…」
急がなきゃ、
大野が急かす。
「式神だけじゃ、そんなに時間は稼げないよ」
+++
やっとのことで旧校舎にたどり着く。
急いで職員室へ向かうと…そこには、式神と争っている見覚えのある男が…。
「田口!?」
萩原が眼を丸くする。
「何やってんだよ、田口」
そういって島田が近づくと、田口はいきなり叫ぶ。
「邪魔をするなッ」
そういって振り向いた田口の目は…正気ではなかった。
「操られてる、誰かに」
萩原は急いで印を結ぶ。そして、島田と石田が押さえつけている田口の額に指を当てる。
      …」
呪文を唱えると、萩原の人差し指がうっすらと光る。
「や、めろッ」
もがく田口。島田達を振り切り、萩原の腕を強く掴む。とても人の力とは思えない強さで。
でも、萩原は怯まない。
「…これ、ただの霊じゃない」
とてつもなく、強い力。それは霊という感じではなく、もっともっと強いどす黒い何かが渦巻いているような…
「…悪意」
良知が呟いた。
「悪意が…操ってる」
「悪意?」
萩原が聞く。
「そう、悪意。感じるんだ。悪意を…。それが、田口を支配してる」
間違いないよ。
そういって良知は田口へ近づき、萩原と同じように額に指を当てる。
「だから、中から追い出さないと」
そういって指先に力を入れる。
萩原は指先にふっ…と風が吹いた気がした。
その途端、田口は萩原の腕を離し、苦しみはじめる。
「ら、ちくん?」
何がなんだかわからない萩原に
「式神を送ったんだ。今ごろ、中で式神が闘ってるよ」
「いつのまに、そんなに自在に操れるようになったの?」
「訓練したんだよ、萩原だけに迷惑かけないようにね」
そういって良知は笑う。
そんな、笑顔も数秒後には凍りつく事になるのだが。


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十六でっす。かなり短いッス…。
えー、ボスとご対面…しませんでした(爆)。
田口くん登場。最近めっきり私のお気に入りの田口君。あー、もっといっぱい使えば良かった(笑)。
ていうかですね、一応少しはボスと対面してるんですよ。「悪意」ですねぇ。どっかで聞いた事ある感じもしますが(爆)。あ、なんか拍子抜けしました?あれ??期待ハズレ??ごめんなさ〜い!!!
いや、でもここからが本番なんで。幸人君大活躍…なはず。
み、見捨てないでッ(必死)。

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