++其の十九++ 骨が折れる音がする。 確実に、ゆっくりと大野の腕を捻っていく少年。 「もう…やめて下さいッ」 良知が叫ぶ。 「大野君は…あなたのこと、すごく考えてたんですよ」 封印してからもずっと… 「うるさいよ、お前」 山下は視線を良知へ向ける。 その眼を見たとたん、良知の身体が震え出した。 「少し、黙っててよ」 息が、出来ない… 崩れ落ちる良知に、萩原が駆け寄る。 「今、助けるからッ」 良知に手をかざす。 うっすらと光を放つ。 徐々に、良知の呼吸が回復する。 「…は、ぎわらッ」 「何?」 「俺、は…いいから…大野君を…」 「でもッ」 「大野君じゃ、ダメなんだよ…」 勝てないんだ。 「どうして?」 尋ねる萩原に、まだ苦しそうな表情の良知が答える。 「…友達、なんだ」 さっきの、萩原と一緒だよ… 「友達には、手が出せないだろ…」 「…友達?」 ふと、眼をやると、そこには確実に弱っている大野の姿が。…腕は力無くぶら下がっている。 「許さない…」 小さな声で、萩原が呟く。 「友達なら…どうしてあんな事ができるの?」 絶対に…許せないッ。 立ち上り、顔を上げた萩原の眼は、今までに見た事のないキツさで山下を射貫く。 「僕が…相手するよ、」 だから、大野君を放して。 萩原の声に、山下は不敵に笑う。 「お前が?勝てると思ってんの?」 一瞥して再び大野へ向かおうとする少年。 1歩踏み出したとたんに、目の前に真っ白い鳥が舞う。 「ッ…」 鳥は少年の回りを飛びながら、徐々に大野から山下を遠ざけていく。 「負けるつもり、ないけど」 ゆっくりと、確実に山下に近づく萩原。 手を伸ばすと、鳥はその手に舞い戻る。 「お前だけは、許さない」 胸ポケットに手を入れ、呪文を唱える。 「 殺気に満ちた萩原に、大野が叫ぶ。 「違うッ…萩原、本気じゃないんだ。そんなヤツじゃないんだッ」 心が痛まないなんて… 「うそでしょ?ねぇ、…滝沢。滝沢なんでしょ?」 「…うるさいッ」 何かを振り払うように頭を振り、叫ぶ。 「さっき、僕の腕を掴んだ時…滝沢の眼が…辛そうだったよ」 本気じゃ、ないんでしょ? 「どうでもいいだろッ!!俺は、復讐する。この学校にも…お前にも」 だから…今度こそ全力で俺を倒せよ。 そういって、滝沢は萩原へ手をかざす。 黒い鳥が萩原に向かって飛んでくる。 「滝沢ーッ!」 悲痛な大野の叫び声。 鳥は萩原へと、物凄い勢いで襲いかかる。 「萩原ッ!!!」 島田達が叫ぶ。 その瞬間、鳥は無残にも床に叩きつけられた。 「…言ったでしょ?負けるつもり、ないって」 そう言い放った萩原は、滝沢以上に不敵な笑みを浮かべていた。 ******* 十九ですッ!!! すごい、今までにない早さで更新ですvv てか、ボス…(汗)。 やっぱり、って感じですよねぇ(笑)。悩みに悩んだ挙句、当初の設定通りにしました。 一応ですね、2年前にどうして滝沢君がボスとして、大ちゃんに封印されたのか。とか、どうして学校へ復讐しようとしているのか、なぜ、大ちゃんはタッキーを封印したのか、っていうのは決めてあるんですよ。機会があれば、書きたいんですが… 本編書くのでいっぱいいっぱいです(笑)。無理に入れると、説明文みたいで浮いちゃうんですよねぇ(汗)。文才、欲しいッス。 そして、幸人vv活躍…します、多分(爆)。しばらくはほのぼのしてない幸人で(笑)。 TOP ≪≪BACK NEXT≫≫ |