++其の参++

「ぜってー、やだ」
呼び出された彼は話を聞くなり部屋を出ようとする。
「ちょ、待ってよ。だいたいいっつも生徒会の仕事してないんだから」
逃げようとする彼の腕を掴んで無理やり座らせる良知。
「それとこれは別。俺、怖いのヤダもん」
可愛く拗ねて見せる。
…3年だっていうのになんでこう子供っぽいのかな。
そう思いながら良知は説得を続ける。
「でもさ、気にならない?2年前の事を見届けた屋良っちとしては」
「な・ら・な・いっ!!」
頑なに断りつづける屋良に、良知は諦めたようにつぶやく。
「そ、仕方ないね。じゃあ、その代わり生徒会の仕事ちゃんとやってよ。本来の役職でね」
もともと、屋良は生徒投票で生徒会副会長に選ばれていた。が、元々仕切るよりも皆と遊んでいたい屋良は同じく生徒会役員に選ばれた萩原に副会長を押しつけ、自分は生徒会員とは名ばかりの生活を送っていたのだ。
「…で、どうやって七不思議の謎を解くわけ?」
諦めたように屋良が尋ねる。
「とりあえず、上田君と中丸君に会ってみようよ」
島田は携帯を取り出した。
+++++++++
二人が良知の家に着いたのは19時を過ぎた頃だった。
「さっそくだけど、音楽室で何があったか教えてくれない?」
島田が聞く。
「先週の金曜日なんだけど…。その日に提出しなくちゃいけない課題があったのに、その資料を上田がが教室に忘れちゃったって…」
「で、取りに行こうと思ったんだけど、一人じゃ怖いから中丸を誘ったんだ」
萩原が質問しようとすると、横から、
「…だいたい、なんで取りに行こうと思うんだよ!!!忘れましたって一言いえばよかったのにさぁ」
と、なぜか投げやりな屋良。そんな屋良に上田が申し訳なさそうに続けた。
「だって、先生めちゃめちゃ怖いし。それに、それ提出しないと進学ひびくって言われてたし…」
「そんな大事なもん忘れんなよぉ〜〜〜〜!!!」
怖さのあまり、妙なテンションの屋良を見て、良知はちょっとため息をつき、
「…屋良っちも怖いからってそんなに自棄になんないでよ。で、それが何時くらいだったの?」
と、屋良の勢いに思わず黙ってしまった上田に優しく尋ねる。
「家を出たのが4時ちょっと過ぎ。で、学校に着いて教室まで行って資料を取ってきて…音楽室の前を通ったら…」
全員が息をのんで注目する中、中丸が口を開いた。
「…聞こえたんだよピアノの音が。その時の時間が…4:44だった。とっさに時計見たから間違いないよ」
とたんに「うわぁ〜!!」と叫び出す屋良と石田。
「ね、ねっ!!もう辞めようよ。マジやばいって!!」
必死にすがりつく屋良と石田を払いのけて良知が続きを促す。
「それで、誰かいるのかと思って音楽室のドアを開けてみたんだ。そしたら、誰もいないのにどっかからすすり泣く声が…」
「で、気味悪くなっちゃって…走って家まで帰ったんだ」
そこまで聞くと、今まで黙っていた島田が口を開いた。
「今日さ、行ってみようよ」
「やだ〜!!」とか「ぎゃ〜〜!!」とか言ってる2名は除き、良知と萩原が賛同した。
「絶対、謎を解いてやるっ!!」
と、意気込む島田を、萩原は「金田一みたいだなぁ」と何故か関心しながら良知の入れてくれたジュースをゆっくりと飲み干した。




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****ちょっとコメント****
…てか、展開遅っっ!!(笑)まだ、ぜんぜん進んでないよ…。
え〜、もう一人の生徒会役員ですが。ラッチと同い歳…って言ったら屋良っちしか思い浮かびませんでした(爆)や、他にもいっぱいいるけど、設定のキャラ的に屋良っちしか考えられなかったの。
「やっぱりねぇ〜」と思った人いるだろうなぁ(笑)