++其の九++
「そう言えばさ」
島田が言う。
昨日、倒れてしまった萩原は結局学校を休んだ。島田は様子を見に寄ったのだが、何故か部屋に上がり、くつろいで雑誌を読んでいたのだ。
雑誌をめくる手を止めて、顔を上げて続けた。
「大堀君、渡り廊下歩いてたら声が聞えたっていったよな」
「ん〜?そうだったっけ?」
少し眠そうに答える。
「そうだったって。その渡り廊下ってさ、絶対七不思議の渡り廊下だよな」
「あの、足音の絶えない…ってやつ?」
「そう、絶対そうだよ」
うん、そうに違いない。と1人で納得している島田をよそに、萩原はまた眠りにつこうと目を閉じた。
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どのくらいたったのだろう。電話の音で目を覚ました萩原は、横で当たり前のように寝ている島田にちょっとビックリしながら通話ボタンを押す。
「もしもし…」
「あ、萩原?どう、大丈夫??」
声の主は良知だった。
「あ、良知君。うん、大丈夫。もう全然平気」
「そっか、良かった。あんまり無理しない方がいいよ、と言いたいとこだけど…ちょっと話があるんだけど、今から行ってもいい?」
申し訳なさそうな良知の声。
なんかあったかな?
「いいけど…島田もいるけど、いい?」
横でまだ夢の世界にいるであろう島田を見る。
「いいよ、島田も呼ぼうと思ってたし。じゃ、今から行くよ」
切れた携帯を見つめながら、
島田の勘は当たったかな?
と密かに思う萩原だった。
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「…やっぱり」
島田がちょっと嬉しそうに言う。
「喜んでる場合じゃないよ。昼間の風間の話だと、どうも、渡り廊下の話は図書室の話もつながってるらしい」
良知の話に一緒に来ていた石田が反応する。
「図書室も?って事は他にも?」
「大堀が言ってただろ?渡り廊下を歩いた時に声が聞えたって」
「やっぱり、大堀君の言ってた渡り廊下は七不思議のヤツだったんだ」
思ったとおりだ…
頷く島田に
「図書室のヤツは結構強いのかもな」
屋良が呟く。
「なんで?」
尋ねる石田に
「だって、話からすると図書室のヤツが渡り廊下にも出現して、桜も操ってたってことになるわけでしょ?そりゃ強いよね」
と、萩原が言う。
「…そっか、そういうことになるのか」
呟く石田の横で
「それって…今まで以上にヤバイって事か…」
珍しく不安そうに言う島田。
「どうしたの?弱気なの、島田らしくないじゃん」
笑う萩原に
「考えてみればさ、お前大変そうだったじゃん。最後倒れたしさ。かなり危険だよな…俺が、七不思議の謎を解こうなんて言い出したから、皆危険な目にあって…」
と、うなだれる島田に良知が優しく言う。
「お前のおかげで、何人も助けることが出来たんだよ」
落ち込むなよ、似合わないぞ。
笑いながら言う良知に、島田も少し笑う。
「そうだよな、俺らしくないじゃん。じゃ、とりあえず風間君に電話してみる?まだ詳しくは話、聞いてないんでしょ?」
立ち直り、早いよな…
妙に感心してしまった萩原の横で島田が張切って通話ボタンを押した。
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どんどん展開が辛くなっていく〜〜(笑)。
や、なんとか続いております、七不思議。このままなんとか最終話まで書き上げたいです。
頑張ります。…ていうか、話的に大丈夫ですかね。実はコインロッカーベイビーズと平行して書いていたので頭がごっちゃに…(汗)。
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