++其の十++

後をつけてみたものの…
「なぁ…」
1時間程たった頃、島田が問いかけた。
「何?」
「アイツ、何がしたいんだ?」
「…わかんないよ。僕は2号じゃないんだから」
「だってさぁ…ずっとウロウロしてるだけだぞ?」
「そうだよね、どこかに行く訳でもないし…」
ドッペルゲンガーらしきモノはただ原宿をウロウロと歩き回っている。
「何が目的なんだ?」
「…なんだろ、」
「なぁ、どうする?」
「何が??」
「これから」
「何?どっか行きたいの??」
「ばぁか。そうじゃねぇよ。このまま黙ってついて歩いてても仕方ないだろ?」
「あぁ、そうだね」
「大丈夫かぁ?お前」
反応鈍いぞ…いつもにまして。
「ちょっと…鈍いだなんて失礼な。あのね、ちょっと考え事してんの」
「何を?」
「2号のこと」
「なんか、わかったのか?」
「うーん、とりあえず、2号の正体はなんとなくわかったんだけど…」
何がしたいのかがわからない。
首を捻る萩原を島田は驚いたように眼を見開いて覗きこんだ。
「正体、わかったのか?」
「うん…」
「いつ??」
「えっと…30分くらい前」
「…だったらその時言えよ」
「だって、なんとなくだから自信ないし…それに、正体だけわかったってしょうがないでしょ?」
「そりゃ、そうだけどさぁ」
「でも、これ以上つけてても意味はないかもね」
「…教えろよ」
「何を?」
「アイツの正体」
「あー、それは良知君達と合流してからね」
「気になんだろ〜!!」
「でも、確信じゃないから…」
「いいから、教えろ」
「だから、良知君達と…」
と、言いかけた萩原の横で既に携帯をかけている島田。
「もしもし?良知君??今どこ…え?家??石田もいんの??丁度イイや。今から行ってもいい??…あ、わかった。じゃあ、すぐ行くから。…あッ!屋良君も呼んどいてね。よろしく」
携帯を切って、萩原の腕を掴む。
「行くぞ」
「ちょ、島田!!」
「なんだよ、」
「…クレープ食べたい」
「お前、さっき食っただろ」
しかも、俺の金で。
「でもぉ…」
「いいから行くぞ!!」
…と、振り向いた島田の目の前に
「ッ!!!」
「彼」が居た。
「2号だ」
萩原が呟く。
「…」
驚きのあまり声の出ない島田に野田らしき「彼」はニッコリと微笑んだ。
「なぁに?もしかして、僕等に話があるの??」
横から訪ねた萩原に「彼」は小さく頷く。
「…じゃあ、一緒に来る?」
微笑んだ萩原に「彼」は少し戸惑いながら頷いた。
「それじゃあ、行こうか」
ね、島田。
腕を引っ張られて我に返る。
「ちょ、萩原ッ」
「何?」
「どういう事だよ??何で普通に会話してんだよ!!」
「だって…話がしたいっていうんだもん、聞いてあげなきゃね」
「いや、そういう事じゃなくて…」
「話聞けば全て解決。でしょ?」
「…そうだけど」
…だって、幽霊なんだよな?
小さな声で尋ねた島田に
「野田君だと思えば大丈夫でしょ」
萩原は笑顔で答えた。
++ ++ ++
玄関を開けた良知は、想像もしていなかった来客に数秒固まった。
「…えっと、萩原。どういう事??」
眼を白黒させる良知に、萩原が答える。
「原宿で偶然会ったの。そしたら僕等に話があるって言うから…連れてきちゃった」
ニッコリ微笑む萩原。
「連れてきちゃった、って…」
呆然とする良知の横を通って、萩原が中に入る。
「ほら、上がりなよ」
まるで自分の家のように「彼」を部屋へと連れていく。
二人に続いて入ろうとした島田の腕を良知が掴んだ。
「ちょっと待った」
「何?」
「ちゃんと説明してよ。訳わかんないんだけど」
至近距離で問い詰められて、あまりの迫力に後ずさりながら島田が答える。
「や、俺もよくわかってないし…」
「だいたい、なんで仲良くなってんの?」
「なんか、後つけてる間に萩原がアイツの正体わかったって言って…良知君達に報告しようと思って帰ろうとしたら目の前にアイツがいて…」
で、何だかわからないままココに一緒に来ちゃったんだよ…。
「でね、良知君はアイツ何物だと思う?」
質問し返した島田に、良知は少し黙ってから続けた。
「…霊だよね」
波動が…霊って感じがする。
「やっぱり…萩原も言ってた」
「でも、一体…」
と話しこんでいたら大きい音を立ててドアが開いた。
「島田!!良知君!!何二人で話してんの!!」
ドアから石田が大声で叫ぶ。
「ゴメン、今行く」
慌てて良知が答える。
「とりあえず…話を聞いてみるしかないか」
良知の言葉に島田も頷いた。
++ ++ ++
部屋に入ると…
机の周りに萩原、石田、「彼」。そして…
「屋良っち…何やってんの?」
尋ねた良知の視線の先には、良知のベッドの上で毛布に包まって小さくなってる屋良。
「だって…何となく怖いんだもん」
そんな屋良を後目に萩原が「彼」に話しかける。
「さて、どんな話があるの?…えっと…名前、なんて呼べばいい?野田君の、弟さん」
萩原の言葉に、全員が驚きの声をあげた。


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第10話です!!!
ありえない…ありえない早さの更新なんですけど(汗)。
いやぁ…自分でビックリ(爆)。
それにしても、展開がわけわかんなくなってきましたね〜(苦笑)。
ドッペルゲンガーじゃなかったのか??
…だってね、ドッペルゲンガーだと色々面倒くさいんですよ(何が)。
暗くないお話にしたかったんで。
それにしても予定以上にダラダラと長くなってしまいました…。
いや、そんな事より。これ、ほぼ書きあげた時にパソ落ちました(汗)。
保存してなかったんでかなり焦りました。
なんとか途中まで自動でバックアップとってたんで、そこから書き直しです(苦笑)。
なので、最初に書いたのと、多分変わってます(ぇ)。



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