++其の九++

翌日、学校に行ってみると、野田の目撃情報は増えていた。
「うーん、」
首を傾げる萩原に島田が問いかける。
「…なんか、大変な事起きてる感じ?」
「…どうして、」
「どうして、何??」
「皆、野田君2号に会ってるのに…僕は会えないんだろ」
真剣に悩む萩原に島田は少し呆れたように答えた。
「…だって、お前出かけてないじゃん。さすがにお前ん家までは現れないんじゃねぇの?」
「あ、そうか。ブラブラしなくちゃ会えないのか。じゃあ、今日原宿に買物行こうvv」
「…誰誘ってんだよ」
「もちろん、島田」
ニッコリ笑う萩原に…
「お前、俺の予定なんて考えた事ねぇだろ」
島田がぼやくと…
「だって、島田だって僕の都合考えた事ないじゃない」
…どっちもどっちか。
「わかったよ。野田を助ける為だ」
帰り、迎えに来るよ。
そう言って島田は自分の教室へ戻っていった。
「幸人君」
野田が後ろから話しかける。
「何?野田君」
「…僕、なんかヤバイ事になってんのかなぁ」
不安そうな野田。
「今はまだなんとも言えないけど…きっと大丈夫だよ」
優しく笑う萩原に野田が申し訳なさそうに呟いた。
「ゴメンな。いっつも島田に連れられて色々やらされてる幸人君みて大変そうだな〜って思ってたのに…」
まさか、自分が迷惑かけるなんて…
「迷惑なんかじゃないよ?僕と野田君の仲じゃない」
気にしないでよ。
そう言って笑う萩原に、野田は少し照れながら…
「ありがとう」
と言って笑った。
「幸人君」
「何?」
「これ、お礼といってはなんだけど…」
良かったら、食べて?
と野田が差し出したモノは…
「あー!!これ、この間でたばっかりの新製品だぁ」
美味しそうだから気になってたんだよね〜。
と、萩原の顔に満面の笑みが浮かぶ。
「野田君!!」
「何?」
「僕、頑張るからね!!」
…こんなモノで頑張ってもらえるならいくらでも。
不安に怯える野田は切実に思うのだった。
++ ++ ++
「萩原〜」
帰り支度をしている萩原に、ドアに寄りかかった島田が呼びかける。
「あ、島田。ちょっと待って」
ガサゴソと鞄にモノを詰め込む萩原を見て、島田が溜息をつきながら近づいてくる。
「…遅ぇよ。何やってんだ」
「なんか…入らない」
ギュウギュウ詰の鞄を見ながら、少し泣きそうな萩原。
「…お前、そうまでしてお菓子持って帰りてぇのか?」
呆れた島田に萩原は深く頷く。
「…しょうがねぇな。俺のに入れてやるから貸せ」
萩原の鞄からお菓子を抜き取って、自分の鞄に入れる。
そして萩原の鞄を自分のと一緒に抱えて、島田は萩原を振り向いた。
「ほら、帰るぞ」
開いてる手で萩原の腕を引っ張っていく。
「ちょ、痛いよ。あ、野田君!!また明日ね〜」
引っ張られながらもニッコリ笑って手を振る萩原を見て…
『もしかして、振りまわされてるのは島田なのかもしれない』
と、萩原を頼りにはしていても、なんだか少しだけ島田に同情する野田であった。
++ ++ ++
「なぁ、良知君達も呼ばなくていいのか?」
尋ねた島田に
「別に、行動起すわけじゃないし…野田君2号を探すだけだからいいよ」
それにさぁ
笑いながら島田を見る萩原。
「なんだよ」
「たまには二人で歩くのもいいでしょ」
最近なかったもんねぇ〜。
フフフ…と笑う萩原に
「何言ってんだ」
と少し苦笑しながら前を見た島田は…
「あ、あれ…」
「何??」
つられて萩原も顔を上げる。
そこには…
「野田だ…」
「2号だ!!」
「やべぇ…マジ野田じゃん。あれ」
「凄いね〜。普通に存在してるよ」
「…つーか、あれ何?」
「何って2号じゃん」
何言ってんの島田?
笑う萩原に
「そうじゃなくて!!ホントにドッペルゲンガーなのかそれとも幽霊とかそういう類のモンなのかって訊いてんだよ!!」
「うーん、ドッペルゲンガーって会った事ないからよくわかんないけど…どちらかって言うと霊の波動を感じる気がするんだけどなぁ」
「…じゃあ、ドッペルゲンガーじゃないって事か?」
「まだなんとも言えないけど…」
ちょっと、後つけてみよう。
そう言って萩原は歩き出した。



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第九話で〜す。
なんだこれ(爆)。
いやぁ、前回までのお話が暗くて重かったんで…その反動でとっても軽い感じになってきてますね(苦笑)。
つーか、まるで島幸がバカップル状態になってきた(ヲイ)。軌道修正しなければ…(苦笑)。
それにしても頑張って更新しましたね〜、私(笑)。
今日書き始めて今日書き終えましたよ(笑)。ちょっと頑張りましたね(自分で誉める・笑)



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