++其の十参++

良知は、耐え切れない息苦しさに眼を覚ました。
暗闇の中目を開けると…
「ふざけんなよ…」
良知に覆い被さるように寝ている石田の姿。
「重たいんだよ、お前」
なんでそんなに寝相悪いんだよ…
言いながら、石田を起こさないようにそっとよける。
…と、ベッドから唸り声が聞こえた。
「…野田?」
返事はない。
「野田?大丈夫か??」
起きあがって、近づいてみると
「…さ、むい」
野田がガタガタと振るえていた。布団に包まって、体を丸めて、それでもなお震えていた。
そんなに、冷え込んでいるわけではない。この寒がり方は異常な気がする。
「大丈夫か!!」
野田の頬に手を当ててみる。
「冷たい…」
息を呑むほど、野田の体は冷たかった。
「しまった…気がつかなかったのか」
でも…気配はなかったはずだ。霊が近づけは必ず気がつくはず。
良知だけじゃなく、萩原だって目を覚ますはずだ。
「そんなことより…」
野田を助けなければ。
野田を抱え起こして布団毎包み込む。
「野田、大丈夫か?」
野田はただただ震えるだけで、返事すら返ってこない。
「どうすれば…」
霊が相手なら除霊する手もあるが、肝心の霊の気配が感じられなければ手の施しようがない。
それに、起きたときから感じていたが、野田の弟の気配がないのだ。
そして…探してみて初めて萩原がいない事にも気がついた。
いったい、どういう事なのか…
野田を擦りながら良知はふとベッドの下に視線を落とした。
「…起きろよ!石田!!」
叫ばれて石田が慌てて起きあがる。
「良知君!?な、に??どうしたの?」
「野田が、大変なんだ。萩原探してきて!!」
「え、っと…萩原いないの?」
まだ起ききってない石田に、良知が叫ぶ。
「早く!!」
「わかった!!!」
石田は飛び上がると、駆け出していった。
「…どうしたの?」
騒ぎで起きた島田に良知が言う。
「島田、萩原知らない?」
「いや…わかんないけど、いないの?」
「いないんだよ…こんな時に…」
「こんな時って…野田!?どうしたの??」
「すごく、冷たいんだ」
抱きしめている良知の体温すら奪われていきそうなくらい。
「それって、死霊の仕業?」
「わかんない、でも霊の気配がしないんだ」
「どうすれば…」
と、その時
「うるさいよ〜。眠れないじゃん」
と、やっと起きた屋良の声。
「屋良っち!!それどころじゃないよ!!」
叫ぶ良知に飛び起きる屋良。話を聞いてみて、一言…
「でも、他にどうすればいいかわかんないんだからとりあえず除霊してみれば?」
「…けど、」
「やってみてもいいじゃん」
「…そうだね、とりあえずやってみようか」
「それからさ、大ちゃん呼べば」
「大野君?」
「そ、結構大変なことになりそうだし。大ちゃんいたほうが何かと助かるんじゃない?」
「それじゃ、屋良っち大野君に連絡して」
「オッケー」
「島田は…僕の手伝いしてくれる?」
「いいよ、なんでも言ってよ」
「とりあえず、野田を支えててくれる?」
そういって、良知は野田を島田に預けると、野田に向かい合い印を組む。
「なんとか、体温だけでも…」
闇雲に、呪文を唱えるわけにもいかない。
少しでも、霊の気配を感じ取る事が出来れば、適切な除霊も出来るのに…
「頼む、見えてくれッ」
祈る良知とは別のところで、萩原も実は苦しい戦いに挑もうとしていた。


*******
第13話です。
いやぁ、すっかり忘れてましたよ。この連載(殴)。
おかげでどう展開するつもりだったのかすっかり忘れちゃって(ヲイ)。
こんな私をゆるして…。
どうでもいいけど、最近、私のかく石田って良知に懐き過ぎじゃないです??
…私、飢えてんのかな(何に)。
だいたい、死霊と対決予定とか言っておいて全然対決してないし…
行き当たりばったりでゆっちん勝手に戦わせようとしてるけど、どうするつもりなんだろ、私(ヲイ)。
…とりあえず、頑張ります。



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