++其の六++

「そういわれれば…」
良知の話を聞いて、ちょっと考え込む萩原。そんな萩原のベッドに自分の部屋のようにゴロッと横になる島田。
「俺、全然気付かなかったけど」
よく、気付いたね。良知君。
島田に妙に感心されつつ良知は続ける。
「萩原は、感じなかった?霊の波動」
「…正直、気付かなかった。最近あんまり話してないんだよね」
「…俺の、勘違いかなぁ」
「でも、言われてみれば石田君…変だよ」
良知が差し入れてくれたお菓子を食べながら萩原は呟いた。
「変?」
何が??
島田が尋ねる。
「だって…授業中だってずっと寝てるし。それに、確かにやつれてる気がする」
「授業中は俺も寝てるけど」
呟く島田に
「島田はいつもだから、」
別に気にならない。
冷たく言う萩原。
「お前、クラス違うのになんでいつも寝てるって知ってんだよ」
「いいでしょ、別に」
「…あのさ、石田の事なんだけど」
思わず口を挟む良知。
「あ、ごめん。で、良知君はどうしたいの?」
「どうしたいって…とりあえず、真相を知りたい」
どう考えても…
「とり憑かれてるとしか思えないんだ」
真剣に訴える良知に、島田は頷いた。
「そうだな、とりあえず石田が何処で何やってんのか調べてみようよ」
「そうだね、もう少し石田君に接すれば霊の波動も感じるかもしれないし」
萩原も頷く。
「ありがと、二人とも」
僕の、思い過ごしだといいけど…
良知は、深く溜息をついた。
++ ++ ++
「マナ!!」
「遅いよ、友一くん」
「ごめん、ちょっと寝過ごしちゃって…」
「フフ…いいよ、全然」
石田の家の傍にある公園。
二人のほかに人影は無い。
「ね、聞かせて?今日の出来事」
マナに聞かれ、少し考え込む。
「今日ねぇ…特に何も無かったんだよ。授業中も寝てたし。あ、なんかやつれてる感じするって言われた」
「…やつれてる?」
驚いて石田を見るマナに、慌てて首を振る。
「全然そんな事ないんだけどね。良知くん心配性だから」
全く…
と苦笑すると、マナがフッと笑った。
「友一くん、いつも話に「良知くん」って出てくるよね」
「…そうだっけ?」
「あとね、「萩原」とか「島田」とか」
「あー、結構一緒にいる事多いんだよね」
「仲、いいんだね」
「ま、くされ縁って感じだけど」
「いいなぁ…」
「マナは?親友とかいないの?」
「私?全然。東京に出てきてからは全然友達できなくて」
「不思議〜。マナって、話してみるとすごい楽しいのにね」
「本当?」
「うん、マナといるとなんか楽しい」
石田が言うとふとマナの目が潤む。
「マナ??どうしたの?」
「嬉しい…」
そう言って石田を見つめるマナの眼から一筋の涙が零れた。
「マナ…」
泣くなよ。
言われて慌てて笑顔を作るマナ。
「ゴメンネ、本当に嬉しくて…もっと、もっと早く友一君に出会いたかった…」
そうすれば…
「そうすれば??」
尋ねると首を振る。
「ううん、何でもないの。ごめんね」
「いや、いいけど」
「ね、友一くん」
「何?」
「私ね、行かなくちゃいけないところがあるんだけど…」
「え?何処?」
「…一緒に、行ってくれる?」
「別に、いいけど…何しにいくの?」
尋ねる石田に、マナは答えようとはせず、ニッコリと微笑んで石田に寄りかかった。
++ ++ ++
「こんなところにいたよ…」
あの後、屋良も合流し、4人で石田を探し当ててやっと公園に辿り着いた。
少し離れたところから石田を見守る。
「なんだよ、石田いつのまにあんな綺麗な人と…」
「そうだよなぁ。ずるいよなぁ」
と盛り上がってる島田と屋良に、萩原が耳打ちする。
「あの人、生きてないけど…」
「ウソッ!!!」
大騒ぎする二人をよそに、萩原は良知に話しかける。
「どうする?良知くん。やっぱり良知くんの思ったとおりだったけど…」
「石田、このままじゃ連れていかれる…」
止めなきゃ。
意を決した良知の言葉を聞いて萩原が立ちあがった。
「じゃあ、ちょっと邪魔してくる?」



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第六話です。
石田〜!!大丈夫なのか〜!!!
つーか、展開をコンパクトにまとめすぎてしまいました(爆)。
なんだか、まとまりの無い文章になってしまいました…(汗)。
ま、とりあえず次回でこの話は完結予定。
…終わるかなぁ(殴)。

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