++NO.14++

『いいか、さりげなく会話すんだぞ』
と島田に言われたものの…
「どないしたん?幸人くん」
開店前の掃除タイム。さりげなさを装おうとして余計気になっちゃって…思わず見つめてしまっていたらしい。
「な、んでもないよ!!それより、一哉君は大丈夫??昨日、具合悪いって…」
「うん…大丈夫。たいした事はないんやけど…」
「…ねぇ、一哉君」
「何?」
「何で、急に辞めるだなんて…」
「あぁ、その話?もう、ええやん。僕にはこの仕事は向いてへん。それでええやん」
「よくないよ!!!」
思わず大声をあげてしまった僕に、一哉君は目を丸くする。
「ゆ、きと…くん??」
「…だって、向いてない事ないもの!!!皆一哉君はこの仕事向いてるっていうよ??どうして向いてないって決めつけるの??なんかあったとしか思えないよ!!!」
「…ごめん、もう辞めよ、この話」
「一哉君!!!」
「ごめん…ホンマにごめんな、幸人君」
そういって一哉君は奥へ行ってしまった。
++ ++ ++
「オイオイ、店長に続き治樹まできてないのかよ…」
島田のボヤキに思わず声をあげてしまった。
「え??治樹君、来てないの??」
「来てねぇんだよ…、ったく。店長いないからって無断欠勤しやがって」
「でも、治樹君、無断欠勤するような人じゃないと思うんだけど」
「…ったく、どいつもこいつも心配かけんじゃねぇよ」
とりあえず、開店だ。
そういって島田は準備に行ってしまった。
一体、治樹君はどこいっちゃったんだろ。
この時、僕は心配はしていても、まさかまさか事件が起きてるなんて思ってもみなかった…
++ ++ ++
「治樹は??」
閉店後、すぐに息を切らせて駆け込んできたのは良知君だった。
「あれ?店長どうしたの?」
今からお見舞い行こうと思ってたのに…
ぼやく友一君に良知君は真顔で尋ねる。
「それより、治樹は?」
「え…来てないけど、」
「治樹君が…どうかしたんですか?」
尋ねると、良知君はう〜ん、と首を捻る。
「…さっき、電話があったんだ」
『店に、迷惑かけてまうかもしれへん。そうなったらクビしてかまわない』
そういって電話は切れたらしい。
「ったく、昨日からなんなんだよ。辞めるだのクビにしろだの…」
ぼやく島田に良知君は驚いて聞き返した。
「辞めるって…誰が??」
「ええと…一哉君が」
僕がボソっと答えると、良知君は一哉君へ詰め寄る。
「一哉…どういう事?」
「…僕、向いてへんから」
俯く一哉君。
「治樹も…その事は知ってるの?」
「昨日…僕が言ったから」
僕も恐る恐る答えると、良知君は少し考えてから一哉君に向かって言った。
「一哉。向いてないだけが理由じゃないんじゃない?もし、辞めたい理由が、治樹の行動にかかわってくる可能性のある事なら、隠さず話して欲しい」
「…せやけど、治樹は知らんはずや」
「一哉…一体何があったの?」
優しく尋ねる良知君に、一哉君は小声で答え始めた。
「…脅されてん。なんや、僕がココ辞めないと、店つぶすって。他の皆も酷い目にあわすって」
「誰から??」
驚いた友一君が思わず叫ぶ。
「わからへん。でも、毎日僕の後をつけて来るんや。夜中も電話が鳴りっぱなしやし…なんや疲れてしもうて…前からお客さんにも向いてへん言われてたし…辞めるにはちょうどええかな思うて」
「何が丁度いいんだよ。一人で抱え込んでんじゃねぇよ」
俺ら、仲間じゃねぇか。
言いきった島田を思わず見つめてしまった。
島田って…こういうとこがカッコいいんだな。
「…じゃあ、治樹はもしかすると、その脅迫してる相手に会いに行ったのかも…」
石田君が言う。
「けどッ…治樹は知らんはずやねん」
「…調べてたかもしれないな」
あいつ、情報網すごいからな。
「とにかく、治樹を探さなきゃな」
良知君が携帯を取り出した。
「知り合いと片っ端から連絡をとってみる。誰かが治樹を目撃してるかもしれないし…」
言いながら電話を始めた良知君。
それを見ながら友一君が一哉君に笑いかける。
「…店長の情報網は治樹以上だからな。多分、すぐ見つかるよ」
「僕のせいや…僕のせいで治樹が…」
項垂れる一哉君の頭にポンっと島田が手を置いた。
「一哉のせいじゃねぇよ。治樹が勝手にやったことだ。全く、一哉といい治樹といい…俺らを全然頼りにしてねぇんだな。もっと頼ってもいいんじゃない?俺らそんなに頼りない?」
「…直樹君。ありがとう。迷惑かけたなかったんや。でも…結局もっと迷惑かけることになってしもうて…」
「何、言ってんだよ。俺ら仲間だろ?」
友一君と島田が一哉君に向かって笑って言った。
大丈夫。きっと治樹君はすぐ見つかる。
何もできない僕は…とにかく祈る事にした。

*********
第14話ですv
なんなんだぁ。この話(爆)。いや、寝込んでる間に考えてたプロット全部忘れてしまいまして…(ぇ)。
書き留めておかなかったんですよ。なので、話がわけわからなくなってますが許してください(苦笑)。
とりあえず、治樹どこ行ったのでしょうか??
そして、いつからこの話、シリアスな方向に向かってしまったのでしょうか?(笑)
この問題は…次回で解決予定(早ッ)

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