++NO.19++ 「直樹のお客さんってどんな感じなの?」 友一君に尋ねられ、島田はニヤっと笑う。 「皆、超美人」 「…俺のお客様だってめっちゃ美人だっての」 負けずに言う友一君。 …ていうか、僕のお客さんが一番かわいいと思うんだけど。 「せやけど、あれやん。直樹のお客さんは苛められたい派やもんな」 治樹君がニヤニヤっと笑う。 「そんなんじゃねぇよ。あ、でもそういえば、こんな感じのお客様もいたけど」 ++ ++ ++ 「いらっしゃい、はじめまして。指名してくれてありがとう」 隣に座ると、ずっと見つめてくる。 「…名前は?」 「優実です」 「優実さんか。カワイイね」 「あ、ありがとうございます…」 そういったまま、黙り込んでしまった。 でも…目線はずっと俺を捕らえて離さない。 「…どうしたの?何か、俺に言いたい事でも、ある?」 「あの…」 「何?」 「あの…私…」 「遠慮しないで、言えよ」 そういって、肩に手を回し、引き寄せてみる。 「あのぉ!!!!!」 「何?優実?」 尋ねた俺に、優実は思いっきり真顔でこういった。 「私の事…睨んでみてください!!!」 …… 「は?」 驚いて目を丸くした俺に、優実は続ける。 「私…直樹さんの冷たい目線に睨まれたいんです!!!あの目線…すごくカッコいいんです!!!」 「あ、ありがとう…」 でも… 「いきなり、睨めって言われても無理だよ」 「そうですよね…でも、いいんです。どんな直樹さんも素敵です」 「わかってんじゃん。とりあえず…乾杯しようか」 そういって、指を鳴らす。 どこからか近づいてきた中村が跪く。 「はい」 「ボトル…入れるよな?」 優実に尋ねると、 「え…」 と一瞬固まる。 「なんだよ、入れないのかよ」 少し冷たく言うと… 「それです!!!その眼!!!素敵〜♪私、ドンペリ入れます!!!」 …ま、いいか。 「ドンペリ、よろしく」 中村は黙って頷いて戻っていくと…ものすごい早さで全員が集合する。 そして、中村がボトルを差し出す。 それを受け取り、優実にウインク。 「サンキュー」 店中に響くドンペリコール。 …あぁ、やっぱ俺って冷たさもカッコ良くみえるほど、いい男なわけだ。 ++ ++ ++ 「…つーか、お前なんか自慢してねぇか?」 友一君に一票…。僕もそう思う。 「ちげぇよ。だって事実だもん」 俺、NO1だからねぇ。 ニヤっと勝ち誇ったような島田。 ム、悔しいなぁ。 はッ!!!思い出した!!! 「でもでもッ!!!そういえば、しま…直樹、お客様と呑み比べして負けそうになってたじゃん!!!」 「負けてねぇよッ!」 睨む島田。 …優実さんは、この目が素敵っていうのかなぁ。 …僕には、ただただ怖いんですけど。 「何々?お前、お客様と呑み比べなんかしたの?」 興味津々、って感じの友一君と、治樹君。 「そうなんだよ…イキナリさぁ…」 ++ ++ ++ 「こはく。久しぶり」 隣に座る。すると… 「久しぶり!!!って事で、呑み比べしよう!」 … 「はぁ?」 何を急に… 「1度でいいから、やってみたかったのv」 …や、そうじゃなくて。 「どうして、やりたいの?」 「だって、1度でいいから、直樹に勝ってみたいからv」 …は? 「つーか、俺…負けないけど」 「私も負けない!!って事で勝負しよう!!」 「わかった。受けて立とうじゃねぇか」 そうと決まれば早速… 指を鳴らして中村を呼び、次々と酒を持ってこさせる。 「呑んだ分、負けた方が全額払う事。OK?」 こはくに尋ねると 「OKOKvv早速始めましょvv」 と、かなり張切ってる…。 ま、いいか。 「スタート!」 こはくの合図で勝負開始。 かなりハイペースで飲みつづけるこはく。 ちょい、やばいかも。 ちょっと、ぺースをあげる。 それにしても… 「強いな、こはく」 言うと、こはくはニコっと笑う。 「直樹も…なかなかやるじゃない」 そりゃ、負けらんねぇっつーの。 時間的に、今日はこはくが俺の最後のお客様。 って事で、限度なく呑んでやる。 そうこうしてるうちに…隣から声が聞こえた。 「…も、無理」 は?無理?? 「こはく?大丈夫か?」 「も、ダメ」 手をひらひらさせてる。 「直樹、強すぎ」 や、っていうか… 「こはくも強すぎ。ったく、呑み過ぎだよ」 そう言って、こはくの肩に手を回し、ゆっくりと引き寄せ寄りかからせる。 「ほら、少し休んでけ」 そう言うと、こはくはコクっと頷いた。 こういう優しさって男として重要だよな。 …あ、そうそう。 「これ、全部こはくが払えよ?」 ++ ++ ++ 「…すげぇな。お前に勝負を挑むなんて」 「チャレンジャーやな…」 「かなりイイ勝負だったけどな」 ま、負けるわけないけど。 勝ち誇る島田。 …島田の話はもういいや。だって、聞けば聞くほど、島田がカッコイイの認めそうになる自分がいるから腹立つ!! 「ねぇ、治樹君にはどんなお客様がいるの?」 話題転換に尋ねた僕に、治樹君はちょっと申し訳なさそうに…それでいて、勝ち誇ったように笑った。 「お前には悪いんだけどさ…」 ゆっくりと、治樹君は話し始めた。 ********* はいっ!!19話です♪ 大変長らくお待たせ致しました〜。 まずは…島田様ご指名の「優実さん」と「こはくさん」の登場ですv あの…こんなわけわかんない内容ですいません(汗)。 そうそう、島田さん呑んでますけど…あくまでフィクションですから(笑)。 とりあえず、回想シーンはそれぞれの一人称で書きたいと思います。 なので、いつもは幸人視点ですが、回想のみ、個人個人の視点になってますんで、普段彼らはこんな事を考えながら仕事してるのねぇ〜ってわかっていただけると(笑)。 えー、次回は治樹です。って事で、治樹ご指名の「さやさん」登場ですv << TOP << BACK NEXT >> |