++NO.22++

「また、明日逢いにこいよ」
何人目だかわらかないお客様を見送って…振り向いたと同時に
「直樹さん、7番指名です」
…ったく、モテる男は忙しいな。
そう思いながら7番テーブルへ。
「あ、なおじゃん。久しぶり」
「やっと逢いに来れた〜」
「何、忙しかったの?最近」
「うーん、ちょっと色々用事がね」
困ったように笑うなおをちょっと強引に引き寄せる。
「なんだよ、俺に逢いに来るより大事な用なんてあンのかよ」
すると、なおは嬉しそうにフフと笑った。
「何?何笑ってんだよ」
「なんかね、嬉しい」
「なんで?」
「やっぱり、直樹のオレ様なところ大好きvv」
「そこだけが好きなわけ?」
ちょっと意地悪く聞いてみる。
「ううん、全部好きだけど…オレ様な所がより一層素敵なの」
「そっか。俺の事、そんなに好きか」
耳元で尋ねると
「うん、大好き〜vv」
と、甘えた声。
可愛いやつだな、全く。
「じゃあ、とりあえず俺に何かおごってよ」
「何がいいの?」
「そうだなぁ…」
考えた俺は、「ちょっと待ってて」となおに告げて、橋田の元へ。
「なぁ、」
「何?直樹」
「今、一番オススメなのって何?」
「え?今??あ、そうそう。昨日入ったばっかりなんだけど…桜のワインがあるんだ」
「桜の?」
「そう、安いのは結構出まわってるみたいだけど、これはかなり高いから味も格別」
「そっか。じゃあ、それ2つよろしく」
「オッケー」
橋田からワイングラスを二つ受け取り、なおの元へ。
「俺の事、大好きななおの為に、俺が直々に運んできてやったんだぜ?」
味わって飲めよ。
そういってグラスを渡す。
「嬉しい!!ありがとう」
そして、グラスを見て、
「綺麗なピンク色だね、何?」
と尋ねてくる。
「桜だってさ」
「そうなんだぁ〜」
「とりあえず…乾杯しようぜ」
「何に?」
「そうだな…なおの愛に…かな?」
そういうと、なおはうっとりした目で俺を見つめて
「直樹、大好き!」
そう言って、グラスを合わせた。
++ ++ ++
………
「だから、結局、島田はカッコイイって事を言いたいんでしょ?」
尋ねた僕に
「まだいるんだよ、俺の客。黙って聞いてろ」
そういって、島田はまた話し出した。
++ ++ ++
「また、来いよ。待ってるから」
そういって、なおを見送り、少し休憩でもしようかと、部屋に向かって歩き出すと…
「直樹さん5番ご指名です」
…休めやしねぇ。
そう言って5番に向かうと、そこには…雪稀がいた。
「おう、雪稀じゃん」
隣に座ると、
「直樹〜!!」
と叫ばれた。
「なんだよ、どうしたんだよ一体」
「だって、すっごく逢いたかったんだもん」
「…てか、昨日も来たじゃん」
「1分でも1秒でも離れてると寂しくて逢いたくなるの!」
と、少し膨れる。
あぁ…同じ膨れるのでも、萩原とは大違い…
++ ++ ++
「ちょっと、それどういう意味!!」
膨れる僕に向かって
「お前が膨れても可愛くねぇっつってんの」
「…お客様は可愛いって言ってくれるもん!!!」
逆ギレした僕は…
「いいから黙って聞け!」
と睨まれた。
全く、怖いんだから…。
++ ++ ++
「なんだよ、そんなに俺の事好きなわけ?」
頭をゆっくりと抱き寄せて、俺の肩口に寄せる。
「大好き!!好き過ぎて、困るくらい」
「何が困るんだよ」
尋ねると
「だって…もう、直樹しか見えないんだよ?他の人、目に入らない」
そう呟いた雪稀の耳元にそっと囁く。
「…なら、俺だけ見てればいいじゃん」
だろ?
顔を覗き込むと、雪稀は真っ赤な顔で…
「直樹に、そんな事言われたら…」
「嬉しくって、泣いちゃう?」
笑う俺に、
「泣いちゃうよ、」
と、ホントに、少し潤んだ目で俺を見つめる。
「泣いてもいいけど。抱きしめといてやる」
いうと、雪稀は少しビックリした顔で俺を見た。
「どうしたの?」
「何が、」
「直樹、優しい」

「俺はいっつも優しいっつーの」
ちょっと睨むと、雪稀は笑う。
「そっか。いい方間違えた。直樹、今日はストレートに優しい」
「…それも、微妙だな。ま、いいか」
俺は、指を鳴らして中村を呼ぶ。
近づいてきた中村に
「橋田にちょい甘めのカクテル頼んで」
「わかりました」
しばらく、雪稀を抱きしめてると中村が戻ってきた。
「お待たせ致しました」
渡されたのは、綺麗な赤いカクテル。
「ホラ、珍しく優しい俺からプレゼント」
「え?ウソ?」
「このカクテルは俺のおごり」
「ありがとう〜!!」
「ま、たまにはいいだろ」
「じゃあ、私…ボトル入れてくね!!」
…はぁ。やっぱりモテる男は、何やっても倍以上になって返ってくるもんなんだな。
++ ++ ++
…………………………
「はいはい。わかりました。島田はカッコイイですよ〜」
ちょっと、投げやりに言った僕に
「バカ、そんな事わかりきってんだよ」
と、何処までも果てしなく偉そうな島田。
「…それは、もうわかったから。ねぇ、僕良知君の事聞きたい!!」
参考にしたいのは、良知君なんだってば!!
「俺は、そんなに話ないよ?指名だってSARIさんしか受けてないし…」
「でも、それでも指名したいってお客さん達にちゃんとお相手してたじゃない!」
「そりゃあ、折角俺の事、指名してくれてるのに、悪いなぁ〜って…」
そう!!それ!!!
「その謙虚さを見習いたいんだよぉ!!!」
叫んだ僕に
「…すると、何か?お前は今までの俺達の話はまったくもって参考にもならねぇとでもいうのか?」
島田を筆頭に治樹君や友一君に凄まれた。
…怖い(泣)。
「まぁまぁ、あんまり苛めないの」
そういって、良知君が助けてくれる。
あぁ…この優しさも見習いたい。
「幸人君がそんなに言うなら…僕の事話そうか」
「是非!!!」
「俺も、店長の話聞きたい〜!!!」
…と、叫んだのは友一君。
「じゃあ、僕の事を指名してくれたお客様の事を…」
そうして、良知君は話始めた。

*********
はいっ!!22話ですvvv
大変お待たせいたしました。
なおさんと華雪稀さんvvいやぁ…こんな内容でよろしかったでしょうか?(汗)
お待たせした上にこんなんですいません(汗)。
さて、次回はやっと店長の出番です!!!
ふぅ…店長指名の皆様お待たせ致しました!!!
頑張ります〜!

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