++NO.5++ お店が開店して、すぐにウェイターの中村君が「指名待ち部屋」にやってきた。 「直樹さん、ご指名です」 言われた島田はニヤっと笑って 「悪いな、お先」 といって立ちあがった。 ホントだぁ、すぐご指名だ。 島田ってホントにもてるんだなあ。 と思っていたら 「あの…幸人さんも一緒なんですけど」 …え? 「は?一緒って、俺と一緒のトコって事?」 島田が尋ねると、 「そうです、5番に直樹さんと幸人さん二人でご指名です」 そう告げると中村君はさっさとホールに戻っていった。 「…お前、指名出ていいんだっけ?」 ショーからデビューじゃなかったっけ? 島田に聞かれて、少し悩んでいると… 「幸人君、指名入ったから。直樹と一緒なら大丈夫だよね?」 良知君が声をかけてきた。 「えっと…多分」 「じゃあ、5番テーブルで。直樹、よろしく頼むよ」 そう言って、良知君は笑顔で去っていった。 「…しょうがねぇな。とりあえず、おとなしくしてれば大丈夫だから」 おかしな行動とるなよ。 島田に引っ張られて部屋を後にする。 …おかしな行動って、何? そんな事、した事ないじゃない。 そう思いながらお客さんの待つテーブルへ。 あ、この人…さっき僕が笑顔で挨拶した人だ。 「久しぶり、今日は俺だけじゃ不満なわけ?」 そう言って、島田はもう一人の人の隣に座る。 島田…なんか、偉そう。 「だって、沙羽が…」 「あれ、初めてだよね、彼女」 島田がゆっくりと脚を組む。 ふーん、そういう動きがカッコイイのか。 「そうなの、それで…沙羽ったら、その子の笑顔が気に入っちゃったらしくて」 僕が挨拶した人は沙羽って名前らしい。 ふと見ると目が合った。 どうしていいかわかんないから、とりあえず笑ってみた。 「よろしく」 「あー、そいつね、今日入ったばっかりだから」 苛めないでね、お姉様方。 笑って言う島田に、お客さんの目はすっかりハート状態。 お客さんに飲み物とか作らせてるし…。 やっぱり、果てしなく偉そうなのに、お客さんは嬉しそう。 「あの…名前、なんて言うの?」 沙羽さんって人に尋ねられて、まだ名前も言ってないことに気がついた。 「あ、えっと…幸人、です」 こんな時、なんて自己紹介すればいいんでしょ? 教えて欲しくても島田はすっかりくつろいじゃっててかまってくれない…。 あたふたしてると… 「よろしく、幸人君」 にっこり笑ってくれた沙羽さん…優しそうな人で良かった。 「僕の、初めてのお客さんだね」 そう言って笑うと、沙羽さんも笑う。 …なんだか、いい感じかも。 ++ ++ ++ 最初のお客さんも帰っていって、島田はそのまま次の指名が入ったけど、僕はとりあえず、待ち部屋へ戻る。 「おかえり」 どうやった?初仕事は。 一哉君が尋ねてきた。 「うん、楽しかった」 「そっか。楽しいのが一番やで」 幸人君、向いてるかもね。 笑って言う一哉君に尋ねる。 「一哉君も、今戻ってきたの?」 「うん、治樹はまたすぐ出ちゃったけどね」 僕はしばらくお休み。 にっこり笑う一哉君。 ホント、一哉君って優しい感じがする。 「一哉君、色々教えてね」 島田に聞くより…聞きやすい気がする。 「でも、俺もホストになったのつい最近やから…」 「え?そうなの??」 「ん…ここでずっとウェイターやってたんやけど。人数足りひんからって急にホストに回されて…」 ホンマは、向いてないんちゃうか思うてるんやけど。 俯く一哉君。 「そんな事ないよッ!!一哉君、優しいし、絶対人気あるって」 「…ありがとぉ。幸人君、一緒に頑張ろうね」 良かった。友達になれそう。 ++ ++ ++ そうこうしているうちに、とりあえず一日目は終了。 結局あの後、ショーは、機械のトラブルで中止。 僕の指名もなかなか入らないまま、僕は島田について歩いて一生懸命勉強してた。 控え室に戻ると、皆が楽しそうに話してる。 「あ、幸人君おつかれ」 どうやった?初のホストは? 治樹君が尋ねてきた。 「うーん、難しかった」 でも、楽しかったよ。 そう言うと、治樹君がフッと笑う。 「楽しかったかぁ。才能あるかもね、幸人君」 最初は、楽しむ余裕なかったけどなぁ。 その言葉に友一君も頷く。 「そうだよなぁ。なかなか度胸あるじゃん」 「そうかな」 なんか、照れちゃうなぁ。 「これから、どんどん実力つけたら皆抜かされちゃうかもしれへんよ?」 一哉君が笑って言う。 「や、それはないから」 3人が声をそろえて言う。 …こんな時だけ、気が合うんだね。 「それにしても、今日の売上は治樹がトップかぁ」 友一君が大きく溜息をつく。 「治樹なら色恋得意だからなぁ」 島田が悔しそうに言う。 「そんな事ないって」 「うそつけ」 「あほやなぁ、俺らにとってはお客様は皆コイビトやで」 「…ねえ、島田」 「あ、ここでは直樹」 「ゴメン、直樹。聞いてもイイ?」 「何?」 「色恋って..なに?」 「あー、色恋ってのは、客をつける為に、相手に恋愛感情があるように思わせる手段」 「それって、騙してるって事?」 「してへんって。直樹が勝手に思ってるだけやって」 俺が、そんなことするように見える? 聞かれても、コメントしずらいんですけど…。 「でも、実際お客さんは皆少なからず恋愛気分なわけじゃない?」 この仕事してる以上それは仕方ないんちゃう? 一哉君が言う。 そうなのかぁ。なんだか、難しいな。 「まぁ、とりあえず心をこめて接してるって事やねんから」 俺は悪くないやろ? 治樹君はそう言ってウインクすると… 「帰るわ、」 じゃあな。 といって出ていった。 「…確かに、治樹君ってカッコイイねぇ」 思わず呟いた僕を、友一君と島田が一斉に振りかえる。 「はぁ?俺のがカッコイイに決まってるじゃん」 「つーか、売上負けたっつってもほんの少しの違いだから」 確かに…治樹君と島田の売上はホントに少しの差だった気がする…。 「僕も、頑張ろうかな」 ムキになって言い合う二人を無視して、呟いて顔を上げると一哉君と目があった。 「俺も、頑張る」 よしッ!!! 目指すはNO.1だッ!!! 一哉君と一緒に、がんばろ〜っとvv とりあえず、今日は… 帰って寝よ。 ********* 第5話です。 早速まず1人目のお名前使わさせていただきましたvv これから、他の方のお名前もどしどし使わせていただきますvv そして、他にもお名前貸してくださる方がいらっしゃいましたらお願いします(笑)。 さて、この話…ちゃんと繋がってます??(爆)。 つーか、このお話、本当に何にも考えてないんで、どう持っていこうかすごく困ってます(笑)。 << TOP << BACK NEXT >> |