+第3話+ 翌日、俺は終礼が終わると同時に島田の前に立って呼びかけた。 「なぁ」 「あぁ?」 俯き気味に頬杖をついてる島田が視線だけ俺に向ける。 「…怖いよ、お前」 「ほっとけよッ!!で、何?」 「相談、あるんだけど」 言った俺に、島田はやっと顔を上げてニヤっと笑った。 「やぁっと相談する気になったんだ」 「…まぁ、そんなトコ」 「あのさ、人にモノ頼む態度じゃねぇよな。ソレ」 ったく、ムカツクなぁ…。 「…すいません、相談に乗ってください」 ほぼ棒読み状態で頭を下げる。 そんな俺に島田が苦笑する。 「それもそれで、気色悪いな」 「どうすれっつーんだよッ!!」 「とりあえず、どこ行く?」 「へ?」 「相談、あるんだろ?」 「あ、うん。えっと…」 考えていると、下からいきなり覗き込まれた。 「僕ね、パフェ食べたい」 …。 「お前には聞いてねぇよ、萩原」 呆れた島田に 「えー!!僕だって石田君心配だもん!相談に乗る!!!」 と膨れる萩原。 ありがとう…気持ちだけで十分だよ…。 「仕方ねぇな…石田、いつものトコでもOK?」 「俺、昨日も行ったんだけど…」 「じゃあ、どこ行く?」 「あんまり人込みってのもなんか嫌だから…俺の家じゃダメ?」 「オッケー。じゃあ行こうか」 鞄を持って立ちあがる島田。 その後ろで 「パフェ、食べたかったのに…」 と、呟く萩原の声が聞こえた。 ++ ++ ++ 「視線?」 訝しげな顔の島田に頷くと、島田は少し難しそうな顔に変わった。 「それ、後ろからずっと見られてる感じなわけ?」 「…いや、そうじゃなくて。どっからかわかんないんだけど見られてる感じ」 答えた俺に 「何だそりゃ」 と眉を潜める島田。 「なんかさ、わかんないんだけど体中に視線が絡み付いてくるんだよ」 「ストーカーチックな感じ?」 帰りに買ってやったショートケーキを頬張りながら尋ねる萩原に 「そうかもしんない」 と答えると、島田が首をかしげながら尋ねてくる。 「でも、誰もいないんだよな」 「そうなんだよ…」 「しかも、いっつも良知君絡みなんだろ?」 「うん…」 「で、同じ時期から良知君は弱ってきてる、と」 「そんな気がする…」 「そりゃ、良知君になんか関係あるよな」 「やっぱりそう思う?」 「あぁ。良知君に言わなかったのは正解かもな」 「だよなぁ」 こんな事、言えるわけないよなぁ。 と、話し込んでいたら萩原が島田の袖を引っ張る。 「ねぇ、どういう事?良知君何関係あるの??」 勢い良く質問してくる萩原に島田は苦笑する。 「いいから、お前はおとなしくケーキ食ってろ」 「酷いよ〜」 「じゃあ、もう食わないか?」 どっちがいい? 尋ねる島田に 「…食べてる」 ボソっと答えて萩原はイチゴを口に放り込んだ。 「それにしてもなぁ…そんな悩みだったら相談受けたところでどうしようもねぇよな」 「オイ…」 それはないだろ… 「や、でも相談しろって言ったのはコッチだからな。全面的に協力するよ」 「お前、イイ奴だな…」 「今ごろ気づくなよ」 そう言って笑う島田がすごく頼もしく見える。 やっぱりコイツは頼り甲斐がある。 「俺、どうすればいいと思う?」 素直に尋ねてしまった俺に、島田もまた真剣に答えてくる。 「とにかく、その視線の正体を突止めないとな」 「だから…どうやって?」 「そんなの、わかんねぇよ」 「…島田」 「や、とりあえずさ。俺らも一緒に良知君と飯食いに行ってみようぜ」 「なんで?」 「一緒にいれば、石田が視線を感じた時、何かソイツの正体のヒントだけでも見つかるかもしれないじゃん」 「…そうだな。じゃあ、来週あたりでも」 「明日は?」 「明日?」 「そ、急いだ方が良くね?」 「…わかった。良知君に予定聞いてみる」 「何かあったらその都度報告しろよ」 そう言って、島田は萩原を引っ張って帰っていった。 島田は何とか正体を突止めるって言ってるけど…ホントにわかるんだろうか。 得体の知れない不安が広がる。 突止めて…いいのか? そんな考えも浮かんでくる。 なんだか、とてつもなくヤバイ事になってそうな気がする。 胸一杯に広がる不安をかき消すように、俺は良知君にメールした。 ************* はい、第3話です。あれ、今回あんまりシリアスじゃなかった(苦笑)。 原因はわかってます…それはゆっちんのキャラ(笑)。 でも、たまには肩の力が抜ける方がいいかなぁって。シリアスな中にも癒し系ゆっちんを投入しつつ頑張って連載していきます(笑)。 << TOP << BACK NEXT >> |