+第4話+

翌日。
良知君に無理を言った形で、俺達はまたいつものファミレスに居た。
「どうしたの?皆で食べにくるなんて久しぶりじゃない?」
にっこりと笑う良知君。
「ほら、しばらく一緒に行ってなかったからさ、そろそろ話したい事も色々出てきたしね」
何気なく会話を続ける島田。
「ねぇ、良知君最近痩せた?」
萩原の言葉に良知君は少しだけ笑うと
「ちょっとだけだよ」
と答えた。
「や、っていうかさ。ちょっとじゃないでしょ」
横から俺が口を挟むと
「そんな事ないって…ホント、石田って心配性」
と苦笑い。
「けどさぁ、心配なんだよ…」
色々と…
と答えたと同時に、いつもの「視線」がやってきた。
「…石田?」
向かいの島田が俺の顔を覗き込む。
俺は眼で「来た」と合図する。
少しだけ辺りをうかがう島田。
「石田、どうかしたの?」
隣で心配そうに尋ねる良知君。
「や、なんでもないよ…」
笑ってみせたつもりだったが、どうも口元が引き攣ってたらしい。
「具合、悪いんじゃないの?」
「…ゴメン、たいした事じゃないから」
言いながらチラっと島田を見ると…肩をすくめて見せた。
どうやら、何もわからなかったらしい。
しばらくすると、視線は消えた。
途中、スプーンを落とした萩原が、その後何度か机の下を覗いていたのが少し気になったが、特に何も言わないって事は別に何もなかったんだろう。
何事もなかったように食事を終え、しばらく話をしてから、俺達は席を立った。
と…目の前で良知君が揺れた。
「良知君!!!」
手を伸ばして抱え込む。
ダラリと垂れた腕。意識はない。
「大丈夫!?」
萩原が覗き込むが…
「ダメだわ、コレ。俺、連れて帰るよ」
島田に食事代を渡す。
「ゴメン…足りなかったら言って」
「っていうか、多いだろ」
「や、色々迷惑かけたし」
「…お前な、一人で抱え込むなよ」
「…あぁ」
「俺達も色々調べてみるから」
「ありがと」
そう言って、良知君を抱えあげて店を出る。
「さて、と」
とりあえず、俺の家のが近い。
「すっかり軽くなっちゃってんなぁ…」
とても男一人抱えてるとは思えない軽さの良知君に、胸が痛む。
とにかく、家に帰ろう。
そうして、俺は家路を急いだ。
その時、萩原が重要な事に気付いていたなんて思いもせずに…
++ ++ ++
石田が良知君を抱えて帰っていくのを見送ってから
「俺達も出るか?」
萩原に声をかけると…首を傾げたまま返事がない。
「萩原?」
「…ねぇ、」
「何?」
「ココって日陰でも何でもないよね」
「あぁ、だから?」
「おかしいんだよ…」
「何が?」
「…だってね、良知君だけなんだ」
「だから、何が?」
「ないんだよ…」
萩原は…何かに気がついたのかもしれない。
「ちゃんと話せよ!!」
思わず肩を掴んだ俺に、萩原はビックリして目をパチパチさせた。
「痛いよ、島田…」
「あ、ゴメン…で、何がないんだ?」
尋ねると、少し間を置いてから、萩原は口を開いた。
「…あのね、少しの間だけだったんだけど」
「何?」
「石田君が、ちょうど様子がおかしくなった頃…」
萩原は俺の眼をまっすぐ見詰めて言った。

「なかったんだよ…影が」



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きゃ〜vv早い早いv第4話です♪
あぁ…シリアス突入〜vvうぅ、自分でゾクゾクします(爆)。
だんだん内容も見えてきましたね〜(笑)。それにしても、屋良サイトと合わせて二つもシリアスなネタ書いてると、ホントに暗くなってきますね(苦笑)。



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