+第3話+

「えっと…」
確か、この辺にしまったはずだった。
「あ、あった」
押し入れの奥からゴソゴソと引っ張り出す。
それは、小学校の頃のアルバム。
「懐かしー」
感慨深げにゆっくりと眺める。
…と、何故か空白の個所。
「あれ?」
そこだけ、数ページに渡って写真が存在していない。
「…ねぇ」
母親を呼び、尋ねる。
「どうして、ここ写真ないの?」
「…事故の事、思い出してしまうだろうから」
処分、したのよ。
母親はそう言うと、また台所へ向かう。
…処分。
きっと、自分が見たい写真は、この処分された中にあったはずだ。
「なぁ、」
台所へ向かい、母親に尋ねる。
「それって、誰かと写した写真だった?」
「そうよ、すごく仲良くてね…でも、思い出したくないだろうと思って」
母親は口を噤む。
「どうして?」
どうして、思い出したくないわけ?
尋ねると、母親は小さく深呼吸して答えた。
「だって、その子。亡くなっちゃったじゃない」
あの時の事故で。
…う、そだろ?
全然記憶がない。
俺は確かに事故にあったけど…。
車にはねられた時、一人じゃなかったのか?
一緒に、はねられた友人。
一体、誰だったんだ…?
「名前、覚えてる?」
聞くと、不思議そうに首をひねる。
「それがね、思い出せないのよ。どうしても」
あんなに、仲良かったのにね…
そう呟いて、夕飯の仕度を再開する。
…思い出せない。
それは、思い出したくないからなのか?
それとも、思い出せないようになっているのか?
記憶を操作されているんだろうか。
そんなわけはない。と思うが、そう考えれば全て説明がつく気もする。

でも、

…なんの為に?

アルバムを閉じて、もう一度押し入れに仕舞い込む。

その時、1枚の写真が風に吹かれた様に、ゆっくりと…
                                          落ちた

*****
第3話ですvv
短いですねぇ(苦笑)。とりあえず、キリがいいんで区切ってしまいました(笑)。
えー、スランプ突入。というか、スランプじゃない時があるのか?ってな気もしますが(痛)。
一応、順調に終わりに向かってはいるんではないでしょうか?
かなりゆっくりではありますが(汗)。
それにしても、暗いです(爆)。

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