+第5話+

「起きろよ、」
…だ、れ?
「起きろってば」
「…ん、」
ゆっくりと眼を開ける。そこには石田がいた。
「大丈夫か?」
心配そうに尋ねる石田。どうしたんだ?
「な、にが?」
「だって、お前昼休みからずっと寝てたんだぞ。いくら起こしても起きなくて、」
もう少しで、救急車を呼ぶところだったんだぞ。
「う、そ…?」
時計を見ると、15時を回ったところ。そんなに、眠っていたのか。
「大丈夫かよ、お前」
心配そうな石田。ぼやけている意識をはっきりさせようと、左右に頭を振る。
「夢を、見てた」
「夢って…」
例の…?
尋ねた石田に頷く。
「いつもよりもはっきりとした、夢だった」
『忘れないでね、この先…どっか遠くに行っちゃう事があっても…
  忘れないでね、僕の事。
     島ちゃんが大好きだから…忘れないでね。約束…だよ』
日が沈む公園で、ギュッと手を握り、約束を交したあの日。
透き通るような笑顔で微笑んだ彼は…一体どんな顔だったのか。
顔だけが…ぼやけてわからない…。
でも…
『いつまでも、友達だよ…絶対、友達だよ。
      忘れないで…ずっと、一緒にいようね』
そう、約束した事は思い出した。
そして、その後、家に帰る途中…俺は、いや俺達は車に跳ねられたんだ。
「夢、なのかな…それ」
石田が言う。
「思い出してもらう為に、見せられているんじゃないかな」
…そう言えば、
「話しかけられた気がする…」
『迎えに来たの。
                            だから、
        もう…置いて行かないで…』
どこかで、聞いた事があるような気がするその声は、心地よい響きで俺を眠りへと誘う。
そう話した後、難しそうに考え込んだ石田が俺の手を引いて立ちあがった。
「とりあえず、良知君に相談しよう」
俺一人じゃ…考えまとまんないや。
申し訳なさそうに、石田が笑った。


*****
第5話でございます。
ぢつは…自分の中で、このシリーズ長くしてみたい。という気持ちがふつふつと…。
当初の予定ではそろそろラストスパートにしようと思ってたんですが、もう少し話を膨らませようかと…。
自己満足ですけど(汗)。
徐々に夢に引きずり込まれていく島田。彼はどうなってしまうんでしょうか。
まだ、悩んでます(爆)。ラスト、どっちにしよう〜〜。


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