第六話backnextindex
良知は眠ったまま。
石田はとにかく良知の手をずっと握り締めていた。
…落ち着かないのだ。
自分も、何かが違っている。
自分を手放してしまいそうで、とにかく良知の手を握り締めている事で、自分を繋ぎとめておきたかったのだ。
「良知君…大丈夫かな」
萩原が呟く。
「女の…人だな、取り憑いてるのは」
島田の言葉に、石田もコクリと頷いた。
「何で…なんで良知君に?」
「わかんないけど…やっぱり喧嘩も要因の一つなんじゃないかな。それから…」
言いにくそうに島田は少し言葉を言いよどむ。
「なんだよ」
はっきり言えよ。
石田の言葉に、島田は少しだけ息を吐き、続けた。
「明らかに…お前を恐れているよな、あの女の人は」
「え…」
「正確に言うと、お前にとり憑いてる人物を怖がってる。その人物に殺される、と思ってる…って事は、お前に憑いている男に殺された女が良知君に取り憑いたって事だな」
「…だとしたら、どういう…」
「言い辛いけど、このまま行けば同じような結末を迎える可能性が高いだろうな」
「おい!!それって!!」
「落ち着けよ。このままいけば、の話だ。とにかく、喧嘩が原因で彼らを呼び起こしてしまったのだから、彼らも喧嘩が発展して殺人に至ってしまった…と思う。だから彼らの喧嘩の原因を探って、何とかやり直させてやればいいんじゃねぇの?」
「どうやって探ればいいんだよ…」
「…それは」
「…良知君も、石田君も、記憶、ないの?」
萩原が突然問いかけてきた。
「記憶?」
「うん…自分じゃない行動している時の記憶」
「…俺、よくわかんねぇんだよ」
覚えてないっつーか、なんていうか…。
項垂れてしまった石田。
「とにかく…二人きりにさせておくのは危険かもな」
島田は呟き、石田を見た。
「俺ら、今日から一緒に此処住むわ」
「島田…」
「そうすれば、何か起きた時にも止めれるし、それに、何かヒントがつかめるかもしれないし」
「ありがと…助かるよ」
「とにかく、良知君とお前は二人っきりにならないように気をつけとけよ」
いつ何が起きるかわかんねぇからな。
島田の言葉に、石田は強く頷き、良知を見た。
「ごめんね、良知君。全部俺のせいだ…だから、絶対助けるから」
自分もとり憑かれているのに。
そんな事はもうどうでもよかった。
とにかく、良知を助けたい。

石田の想い。

その思いが…どう影響するのかも…

どんな結末を迎える事になるのかも…

今はまだ

知る由もなかった。

ただ。

彼の想いだけが。

彼らを光へと導く、ただ一つの道だったのかもしれない。

その道を…

彼らは    進む事が出来るのだろうか。








「誤解…なのに…だから」

3人に気付かれない程の囁きが、良知の唇から漏れた。
そして、その唇は…微かに微笑んでいるようだった。



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第六話です。
だんだん日にちがたちすぎていて、自分がどうしたいのかもわからなくなってきたので、此処で一つ、思いつくままに…というか、手の動くままに書いてみました。
何となく、繋がったかな?